行徳家住宅
Gyoutoku



 
国指定重要文化財 (昭和50年6月23日指定)
大分県日田市大字夜明3256
建築年代/天保13年〜弘化4年(1842〜1847)
用途区分/医家
指定範囲/主屋
公開状況/公開

九州を南北に分断するかのように流れる筑後川を河口から東へ、即ち上流に向かって遡っていくと、ちょうど福岡と大分の県境付近で「夜明」という変わった地名に出会う。九重連山・耶馬溪の山間を激しく縫うように流れた筑後川の姿が、この付近から一変して大きく拡がり、筑後平野をゆったり堂々と流れるようになる。「夜明」という地名はこうした地形を言葉に託したのものなのであろうか。この洒落た地名を戴く集落の中程に所在する当家は代々医業に携わってきた家系で幕末のご先祖様には大阪に出て、あの著名な緒方洪庵に医術を学んだという経歴の方も居られるようである。主屋の中には医術の道具類も展示されている。
屋敷地は小高い山を背に正面には玉石垣を築く広大なものである。主屋は東面し、地域特有の杉皮葺きの寄棟屋根に瓦葺の入母屋屋根付きの式台玄関を構える。大阪で修業され、広く見聞を持たれたことが影響しているのであろうか、周囲の民家と比べて当家の建前には格段の品が感じられる。また大阪から帰郷後、久留米藩の御殿医としても活躍されたとの事で格式高い屋敷構えも納得がいく。この地域にとっては突出した高い文化水準をもつ家であったに違いない。素晴らしい家である。


 

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