荒木家住宅
Araki



 
登録有形文化財 (平成27年3月26日登録)
大分県玖珠郡玖珠町森938
建築年代/大正11年(1922)
用途区分/商家
登録範囲/主屋・酒蔵・勝手蔵
公開状況/非公開
玖珠町は森藩久留島家12500石の城下町である。山間部の小藩らしく決して大きな町場ではないが、しっとりと落ち着いた風情が心地よい。商人町は主に陣屋の南側一帯に配置され、当住宅もその中程に所在する。明治中期から酒造業を営んだとのことであるが、屋号を「酢屋」と称することから本通沿いの本家から分家した当初は酢の醸造を生業としていたのではないかと思われる。主屋は間口も広く大店の風情を漂わせるが、それよりも庇屋根上に設けた小室に布袋像が鎮座する看板広告が気になって仕方がない。


豊後玖珠藩久留島家の城下町に所在する商家建築。
本通り沿いに屋敷を構える荒木本家からの分家住宅となる。
主屋  大正11年(1922)建築。昭和50年、平成19年に改修工事。
酒蔵  大正3年(1914)建築。桁行18m、2階建、小屋組は洋小屋。
勝手蔵 明治37年(1904)建築。
屋号は酢屋。明治中期に酒造業を営む。戦後は酒の小売業。
庇屋根の北端に唐破風造の小室が置かれ、中には布袋像が飾られている。
これは布袋膏薬の広告像である。布袋像の広告としては長崎県長崎市東浜町の竹谷健寿堂(明治5年創業)が販売する「神力膏」の布袋が有名であるが、こちらの布袋像には愛嬌があるが、当住宅の布袋は少し怖い。

2022年に再訪した際には、庇上の布袋像は取り除かれていた。何故の理由なのかは知れないが、少し寂しい。
主屋前の板戸を収める戸袋などにも一枚板が使用されており、かなり上質な建前である。
隣家と接する側にのみ袖卯建を立て、反対側は自分地の広大な作業場となるため隅棟を葺き下ろして卯建は設けない。合理的な造作となっている。

【文化庁報道発表】
酢屋と号した醸造家の建物。主屋は上下階とも出桁造で2階は軒先まで塗り籠める堅牢な造りである。酒蔵は水切と窓庇に瓦を並べて表情を持たせ、勝手蔵は特異な色合いの腰壁が目を引く。森城下の街路に彩りを添える近代建築である。


 

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