主藤家住宅

 
国指定重要文化財 (昭和44年3月12日指定)
長崎県下県郡厳原町豆酘2752
建築年代/江戸時代末期
用途区分/農家
指定範囲/主屋
公開状況/非公開
九州と朝鮮のちょうど中間に戦艦のように鎮座する対馬の最南端の集落・豆酘に当家は所在する。対馬は他に例を見ない石屋根倉庫群の所在地として有名であるが、民家の残存状況も極めて良好で、集落全体の様子も往時と変わらず保たれている場所が多く、面白い場所である。島内の民家の中では、特に「給人」と呼ばれる在地士族階層の屋敷が、ある程度の規模の集落には必ず残されており、屋敷構えも含め、見るべきものが多い。昭和45年までは、給人層の屋敷の代表として鳥居家住宅が国の文化財に指定されていたが残念ながら火災で焼失したため、次に代わる指定が望まれるところである。ところで、当住宅は給人層とは対極にある被支配側である一般農家層の家である。しかし、なかなかしっかりとした建前で農家といえど上層に分類される家格であったと推測されている。屋敷地はさほど広いとはいえず、主屋に玄関も設けられていない点などは給人層の住宅と異なるが、屋敷周囲に積み上げられた石垣塀や本瓦葺きの棟がやたら低い屋根などは、どっしりと落ち着いた雰囲気を醸しており、対馬独特のものとして印象的でもある。



 

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