早川家住宅
Hayakawa



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諫早市指定文化財 (平成5年7月23日指定)
長崎県諌早市小野島町2232 (干拓の里内)
旧所在地・諫早市赤碕町847
建築年代・明治7年(1874)

諫早といえば、今では「干拓」という二文字が思い浮かぶほどに、横暴な公共工事のおかげですっかり全国的に有名となった情けない町であるが、藩政時代においては佐賀藩鍋島家領に属しながらも、鍋島家の宗主筋であった龍造寺家の流れを汲む筆頭家老・諫早家の本拠地として一種の独立藩のような様相を持った土地であった。
諫早の市街から島原方面に車を走らせると、例の干拓地のど真ん中に「干拓の里」という訪れる人もまばらな啓蒙施設がある。私もこの住宅が移築されていなければ、一生訪れることが無かった様な施設である。このような施設をつくることにより本気で干拓事業に対する理解が得られると考えたのであれば、行政の担当者は相当な阿呆である。
さて当家は諫早市街にあった庄屋宅を移築復元したもので、移築前の所有者は市長さんであった。写真のとおり、なかなか堂々とした外観で、見栄えのする建物である。
一方で内部は座敷なども設けられ庄屋としての格式を考慮した造りとなってはいるものの、使用している材料は粗末なものが多く全体的に質素な印象である。
しかしながら水害等の天災により、あまり古い民家が残されていない当地方において、当家は大事な文化遺産であることは間違いない。将来、「干拓の里」が閉鎖になるようなことになったとしても当家だけはしっかり地元で守り通して欲しいものだ。
ところで話はまったく逸れるが、諫早には「福田屋」という鰻屋が中心商店街の一画にある。ここで出される鰻の蒲焼は陶器の蒸し器に乗った独特のものであるが、絶品物の美味しさである。当住宅を訪れる際には、是非立ち寄ってみるとよい。オススメである。




 

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