高取家住宅
Takatori



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国指定重要文化財 (平成10年12月25日指定)
佐賀県唐津市北城内5-40
建築年代/明治37年
用途区分/事業家(炭鉱主)
指定範囲/居室棟・大広間棟
公開状況/公開

唐津という町は何となく品のよい町である。何故かは知れない。「おくんち」と地元では称される有名な「唐津くんち」も品の良い祭りである。
その唐津の町中でも特に唐津城の西方の一画に拡がる旧武家屋敷街は特に素晴らしく品のある町である。その中心に当家は広大な屋敷を構える。屋敷の主は高取伊好。明治時代に大炭鉱主として活躍した人物であるが、そもそもは孔子の聖廟があることで有名な多久の武家出身の学者であった。相当な富を築いた様子ではあるが、出身地・多久に広大な公園や図書館などを建設・寄附するという慈善事業家としての側面もあり、地元での評価は高い。そうした当主の経歴が反映したためなのか、当住宅は非常に品がある。唐破風の玄関部の雰囲気などは私も大好きである。内部には能舞台にもなる部屋があったりもする。この時代に生きた分限者たちの目指すところは、民家の範疇を大きく超えて、大名屋敷のような住まいにあったと思われる。九州には未だ文化財指定されていないものの、かつて炭鉱王と呼ばれた貝島家、麻生家といった大富豪達の屋敷が残されているが、いずれも同様である。


 

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