福田家住宅 Fukuda |
佐賀市指定文化財 (平成10年5月26日) 佐賀県佐賀市松原4-3-15 建築年代/大正7年 用途区分/実業家邸宅 指定範囲/主屋・土蔵 公開状況/公開(佐賀市歴史民俗館) 地方の実業家という存在は意外と悲しいものだ。郷土の発展に大きな足跡を残したはずであるにも関わらず、その名を誰も覚えてはいない。福田慶四郎もそうした偉人の一人ではないだろうか。当家を訪れるまでその名を聞いたことも読んだことさえもなかった。彼は慶応3年(1867)に生まれ、明治末期〜大正・昭和初期にかけて活躍した人物で、興した会社は佐賀セメント、佐賀軌道会社、朝日商会、佐賀水産、佐賀紡績、日本電気鉄工などあらゆる分野に及んでいる。最終的には大正9年(1920)に百六銀行の頭取を務め、佐賀商工会議所の会頭となり、佐賀市議会議員を務めた。いわば佐賀経済界の基礎を築き上げた偉人である。 屋敷は大正4年に着工、同7年に完成した近代和風建築の粋を集めたもので、良材をふんだんに使用しながらも華美に走らず、非常に都会的なセンスの良いものである。玄関近くに洋風の応接間を設ける以外は、実に和風建築の基本に忠実な建前である。大正15年(1926)の陸軍特別大演習の際には、閑院宮の宿泊所として使用され、戦後の一時期には佐賀県議会議員開館として利用されている。現在は佐賀市が買い取り、佐賀市歴史民俗館として一般公開されている。ここの案内役の方は説明熱心な方なのでとても勉強になります。 |