深川家住宅
 Fukagawa



登録有形文化財 (平成13年5月15日登録)
佐賀県小城市小城町877-2
建築年代/江戸時代末期
用途区分/商家(酒造業)
指定範囲/主屋・土蔵
公開状況/公開

佐賀県の中西部にある旧小城藩の城下町に所在する商家建築である。佐賀の名峰・天山の麓に位置する小城町はその伏流水を利用した酒造業が盛んな地域で、当家も江戸中期から明治まで酒造業を営んでいた。主屋の背後に桁行5間の明治初期建築の土蔵が残り、嘗ては酒蔵であったらしいが明治から昭和初期まで米穀商を営んでいたため面影は希薄である。主屋は外観が直線的でやや硬質な印象ゆえに、明治以降の近代町家かと思っていたが、江戸後期の建築であることが判明している。


小城にはこれまで幾度か訪れていたが、当住宅が文化財に認定されるほどの町家であるとは全く思っていなかった。お恥ずかしい話である。当住宅は現在は完全に仕舞屋となっているが、そもそもは酒造業が営まれた建物らしく、建築年代は主屋は江戸後期にまで溯り、主屋の背後に残されている桁行5間の土蔵は明治初期の建物とのことである。外観を見る限り、次項で解説する小柳酒造の建物と同じ妻入りの形式を採りながらも当家は全く異質の雰囲気を持っている。先に登録文化財に認定された小柳酒造を当地域における江戸時代後期の建前の標準であると考えてしまった私にとって、当家の建前はかなり新しい時代の要素をもったものだと思えてしまったのである。真壁造の軽快感、完二階と思わせるほど大きく開口部を採るとともに戸袋まで設ける点、細く繊細な紅殻格子など大正〜昭和初期にありがちな設えである。
その意味では当家は当時としては先進的な建前であったとも云える。難しい。


メモ
江戸中期より酒造を行い、明治から昭和にかけては米屋を営む。
三日月町深川から小城中町に移住。分家して上町に居を構えたことに始まる。




 

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