蔵内家住宅
Kurachi



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福岡県指定文化財 (平成20年3月31日指定)
登録有形文化財 (平成14年2月14日登録)
福岡県築上郡築城町上深野396
建築年代/明治20年(1887)
用途区分/実業家(炭鉱経営)
指定範囲/主屋・大玄関棟・応接間棟・座敷棟・大広間棟・炊事場棟・茶室・倉・米倉・宝蔵・中門・便所・貯水槽
公開状況/公開

築城町を訪れた際には、その風景から、ここは純然たる農村地帯だと思っていた。三方を山に囲まれた静かな土地は田圃が美しく広がっている。実に穏やかな雰囲気に包まれた良い場所である。しかし広大な田園地帯の只中に当家を見たときから、認識は一変する。「ありえない・・」というのが最初の印象であった。正確に言うと、農家ではどれほどの大地主であろうとも、このような屋敷を持つことは叶わないはずであるという思いである。全国の豪農と呼ばれる屋敷をいくつも見てきたが、こんな家は無かった。一体何様の屋敷なのか俄然興味が湧いてくる。当家は実は大炭鉱主の居宅であった。地域の事情に疎い者には、石炭といえば筑豊地域を思い浮かべてしまうため、まるで想像がつかなかった。福岡県内には、かつて「石炭王」と呼ばれた大炭鉱主の屋敷が幾つか残されている。飯塚の麻生家、伊藤家、直方の貝島家といった面々である。どの屋敷も壮大な規模を有し、往時の威勢が偲ばれる素晴らしいものである。しかし、いずれも民家らしさをどこかに残す代物であるが、当家の屋敷は違う。まさしく御殿である。お金が有り余っていたのではないかと思わせるほどの豪壮な造りである。庭園も素晴らしい。
 


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