小采家住宅
Koune




 
国指定重要文化財 (昭和51年2月3日指定)
徳島県三好市東祖谷菅生28 (移築)
旧所在地・徳島県三好郡東祖谷山村栗枝渡13
建築年代/江戸時代(19世紀前半)
用途区分/山村農家
指定範囲/主屋
公開状況/公開

秘境と呼ばれる祖谷地方の中でも最奥部の菅生集落にある青少年旅行村内に移築保存されている山村農家建築である。そもそもは近年に重伝建地区に選定された落合集落の隣、粟枝渡集落に所在していたもので、標高650m程の急峻な山腹の斜面を切り拓いた土地に建っていた。高所寒冷の土地柄ゆえに雨風から外壁を守るため押し潰した竹で土壁を覆う様は南国の民家とは思えぬ工夫である。内部は土間と竹床張りの勝手場、板張りのオモテから成る一間取となっており、建物前面に厠が設けられている点など、実に見所の多い民家である。

残念ながら移築されたものである。都会ではいざ知らず、このような田舎でも古くなって用済みのものは、移転を余儀なくされるのか。
先の木村家でも見られるが、家の正面の屋根付きの出っ張りは厠である。家の顔とも言うべき場所に便所があるなんて今の建築では考えられないのではないかと思う。この辺りが平地の少ない山間部で生活していくことの厳しさを教えてくれる。




 

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