中川家住宅
Nakagawa



 
無指定・公開
山口県山口市阿知須3425
建築年代/明治17年(1884)
用途区分/旧廻船船主
残存建物/主屋・大井戸
公開状況/公開【阿知須いぐらの館】

小郡と宇部を結ぶ国道190号線の中間、山口湾に注ぎ込む井関川の湊町として江戸時代中頃から発展した阿知須浦に所在する商家建築である。地元では瓦葺土蔵造の商家建築を「居蔵」と称しており、廻船問屋を営み、数隻の千石船を有した当住宅は阿知須湊で最大規模を誇る居蔵造であった。当家初代は安芸国音戸瀬戸の出身で江戸中期に来住し、代を重ねるに従い廻船業者として着実に規模を拡大し、幕末には士分を得るまでに成長するが、明治10年頃には廻船業を止め、酒造業や地主業を営んだという。家業の転換期に建てられた建物故か、外観の華やかさに比して内部は意外に質素である。

嘗て屋敷内に土蔵や離れが建ち並んでいたらしいが、現在ではすべて失われている。
この地域の居蔵造の特徴として腰壁を海鼠壁とし、目地漆喰を花模様で飾る例が散見されるが、左官技術の劣化により修復の際に簡略化される様子が悲しい。





 

一覧のページに戻る