三上家住宅
Mikami



 
無指定・公開 (殿敷)
広島県三次市作木町岡三渕269

広島から島根へ抜ける幹線・国道54号線は三次の町を過ぎると急に山深くなっていく。当家の所在する作木村は島根県との境界に位置し本当に山ばかりの村である。当家に行き着くためには、国道から脇に逸れ、カーブの激しい村道に入っていかねばならないが、幾度となく道を間違えているのではないかと不安に思うほど人家の絶えた険しい山間である。訪ねる際には心して行かれるが宜しかろう。当家の祖は南北朝時代に奈良から下向してきた三加美安房守藤原勝文という武士にまで遡るとのことであるが、当地に居を構えたのは1500年代初頭のことである。以来500年間に亘って当地に君臨してきたことは、今に残る屋敷の雰囲気からも窺い知ることが出来る。小高い丘陵地に建ち、周囲を見晴らすかのような屋敷構えは中世居館の名残そのものであり、一見の価値が在る。屋敷地は決して広大ではなく、屋敷内には主屋のほか表門と内蔵のみが残されているのみであるが、長い歴史が刻まれているためであろうか、貫禄十分な風情である。つい最近までは、無住となり屋敷は荒れ放題で屋根も落ちかけていたが、集落の人々の尽力により、修理がなされ往古の姿を取り戻している。現在は公民館的な使われ方をしているようである。建物としての素晴らしさもさることながら、山間部に端然と構えられた屋敷の風情を是非とも堪能してもらいたい民家である。


 

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