木村家住宅
Kimura



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旧三良坂町指定文化財 (平成6年2月21日指定)
広島県三次市三良坂町大字灰塚8-1

三良坂町の郊外に「のぞみが丘」というニュータウンが整備されている。大きな区画割りに立派な日本家屋が並んでいる。詳しい事情を知らない者にはこんな田舎町に大規模なニュータウン開発が何故行われているのかと訝しく思われるが、実は近隣に建設中の灰塚ダムによる水没地区の集団移転用地として整備されたものなのである。「生活再建地」という名目により膨大な公費が費やされたことは、誰の目にも明らかなほどに立派な町である。ダム建設というものが本体工事だけでなく、付帯工事に関してさえも如何に莫大な費用を要する公共事業であるか実感させられる。
ところで当住宅は、このニュータウンの中心部に何の為かは知れないが残される広大な空き地の一画に建っている。当然のことながら元来は灰塚ダム水没地区に所在していたもので、保存のため移築されたものである。建築年代は19世紀前期ということだが、軒も高く、各部屋の開口部もかなり開放的で江戸期の民家としては末期段階の発展に至った建物と見られる。
近隣に同じく移築・保存されている国指定重文の旛山家住宅を見学するついでに立ち寄ると良いだろう。当該地区における民家の発展経過を理解するのに格好の材料である。



 

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