堀家住宅 Hori |
国指定重要文化財 (平成25年5月17日指定) 兵庫県たつの市龍野町日飼字前垣内291 建築年代/明和4年(1767) 用途区分/大庄屋 指定範囲/主屋・浜座敷・裏座敷・内蔵・乾蔵・二番蔵・浜蔵・三番蔵・四番蔵・五番蔵・大乾蔵・八番蔵及び九番蔵・六番蔵及び七番蔵・東蔵・十番蔵・味噌部屋・柴小屋及び漬物部屋・コナシ部屋・養蚕部屋・牛小屋・長屋門・西門・オウラ北門・土地 公開状況/非公開 揖保川中流域の右岸に形成された醤油の里として著名な龍野城下町を訪れた際には、川向こうの対岸に大きな楠と、その袂に白漆喰に黒腰板を施した連続する土蔵群に注目すると良いだろう。それこそが一ツ橋徳川家領6ヶ村の大庄屋職を務めた当住宅である。当家が所在する日飼村は江戸初期においては龍野藩領で、その頃には単なる一介の庄屋に過ぎない存在の当家であったが、延享4年(1747)に一ツ橋領となって以降、播磨地域に菜種や綿作が普及し木綿生産が進展する時代背景の下、菜種や綿実の取引で得た利潤を生かして土地を急激に集積、大庄屋職を拝命し、永代苗字帯刀御免、御徒格、添勘定格など特別な身分へと伸長するのである。屋敷地は東西58間(106m)、南北36間(66m)と広大で、周囲に残る大庄屋層の屋敷地と比較しても相当に大きい。また江戸中期の建築ながら本瓦葺とする主屋の周囲には14棟を超える土蔵群が建ち並ぶ。幕末までに整備された屋敷構えが、明治以降にも殆ど手を加えられることなくそのまま維持されたことは全くの奇跡で、近世民家の至宝と云っても過言でない存在である。 【文化庁報道発表】 堀家住宅は、龍野の城下町から揖保川を挟んだ東岸の龍野町日飼に所在する。堀家は旧日飼村の庄屋を務めた豪農で、近世には菜種などの流通で財を成した。主屋は敷地の中心に建ち、主屋の周囲を長屋門や座敷、多数の土蔵が取り囲むように建つ。主屋の東には農作業用のコナシ部屋や牛小屋も残る。主屋は、明和4年(1767)の建設で、周囲の長屋門や土蔵群は幕末までに順次建設された。堀家住宅は、年代が明らかなものとして播磨地方で最古の主屋を持ち、近世に成立した屋敷構えが、破格の規模で維持されており基調である。当地域の大規模農家の代表例として高い価値が認められる。 |