古井家住宅
Furui



 
国指定重要文化財 (昭和42年6月15日指定)
兵庫県姫路市安富町皆河236-1
建築年代/室町時代末頃
用途区分/農家
指定範囲/主屋
公開状況/公開
中国道山崎ICから北東方向の山間部に所在する国内屈指の古民家である。そもそも県内でも中国道付近の中山間地は古民家の宝庫で、少し以前までは江戸初期の建築に遡る民家が文化財未指定のまま結構残されていたが、今では神戸市北区の箱木家や当家などが文化財指定により辛うじて命脈を保つに過ぎない状況になってしまった。当家は天保7年の「播州皆河邨千年家之記」における記述で千年家または萬屋と称されており、当時において既に近在でも特筆すべき古民家であったことが窺われる。建物は桁行7間、梁間4間の入母屋造、萱葺、平入の中規模な建前で、外観は屋根の軒が極端に低く、土壁が多用された閉鎖的な風情。内部においても独立柱が林立し、柱は細く蛤刃の手斧で仕上げられている。当家は中世から近世にかけて民家史解明の鍵となる最重要な遺構とされている。


【苦情】
久し振りに当家を訪れて驚いた。当時と同じ場所に建っているはずであるにもかかわらず、すっかり周囲が整備されてしまったため、まるで移築民家のような風情になってしまっているのだ。建物だけは素晴らしい。ただ当時あった農家特有の土臭さがまったく無くなってしまっているのだ。行政としては観光客の利便性向上のために公園化を進めたに違いないが、そもそも民家は生活の場であり、人が生きた痕跡を消し去るような整備は基本的におかしい。もっと土俗的な風情を大切にしてもらいたい。

 

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