有川家住宅
Arikawa



 
国指定文化財 (平成24年12月28日指定)
滋賀県指定文化財
滋賀県彦根市鳥居本町425
建築年代/宝暦9年(1759)
用途区分/商家(薬製造販売業)
指定範囲/国重文=主屋・薬医門・粉挽蔵・文庫蔵・大蔵/県指定=書院
公開状況/非公開

彦根城下の北東にある中山道の宿場町・鳥居本に所在する大型の町家建築である。当家は健胃薬「赤玉神教丸」の製造販売元として知られるが、家伝によれば万治元年(1658)に隣町に所在する多賀大社の神託を受けて商売を始めたとのことである。南北に伸びる町場を貫く街道が東へ鍵型に折れる正面位置に屋敷を構え、街道を北進してきた旅人は必ず当家の豪壮な佇まいを見ながら往来することになる。規模も然ることながら軒下の木鼻に寺院建築で見られるような獅子の彫刻を施す意匠には驚かされる。


【文化庁報道発表】
有川家は、中山道の鳥居本宿に所在する製薬業を営む商家である。18世紀の初めに本家から製薬業を引き継いで分家し、本家の隣地に住宅を構えたと伝わる。街道に面して建つ主屋は宝暦9年(1759)の建築で、文化5年(1808)に上段の間をもつ良質なつくりの書院を増築した。あわせて2階の一部を増築したため、屋根が重なり合った複雑な外観を呈する。3棟の土蔵のうち文庫蔵は寛政7年(1795)の建築で、細部に彫刻を施すなど凝った意匠をもつ。粉挽蔵は薬草の製粉、大蔵は丸薬の製造に用いられた。有川家住宅は、江戸時代に近江の地場産業として発展した製薬業を営む商家の遺構として貴重であるとともに、江戸時代に整えられた屋敷構えを伝える町家建築としても貴重である。

 

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