林家住宅
Hayashi


 
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千葉県指定有形文化財 (昭和54年3月2日指定)
千葉県香取郡干潟町長部字八石339-1
旧所在地・千葉県旭市ハ271
建築年代/天保15年(1844)
用途区分/農業・醸造業・漁業
指定範囲/主屋
公開状況/公開
この住宅は、林家の6代目・伊兵衛が大原幽学の指導を受けて、天保15年に建てられた。
建物は雁行形に居室棟と客座敷棟から成り、居室棟は桁行8間、梁間5間、客座敷棟は桁行4間、梁間3間で寄棟造茅葺の中規模な平屋建となる。
当住宅の特徴として、平面が開放的で、各部材の樹種選定も適切で、仕口・継手も入念に施工され、同時代の他の民家と比較して頑丈である点が挙げられている。このことは建設に用いられた技術体系が大原幽学の指導の下に先進的な計画理念が採り入れられていたことに拠るものであり、この地方の伝習技術のみに拠ったものではないためとされている。
当住宅が所在した旧所在地は近世には下総国海上郡十日市場村と呼ばれており、旗本知行所や組与力給地に組み入れられた約400石程の村高を産する土地柄である。林家が同地に定着した時期は定かではなく、17世紀末頃と推測されている。5代目・伊兵衛道賢は38年間に亘って割元名主を務め、苗字帯刀を許される程であったらしいが、6代目・伊兵衛道一が家産を継いだ時には2500両もの借財を抱える程に零落していたという。しかし6代目は農業のみならず、醸造業や漁業にまで家業を拡げ、往時を凌ぐほどの隆盛を果たした人物だった。
6代目は天保9年末に、社会経済的に動揺と不安が続く東総の地に「性学」を広めつつ農村の再建を目的として遍歴していた大原幽学と出遭い、「子孫の危機を知る」という教説に傾倒し、性学に入門している。



当住宅は林家から寄贈を受けた千葉県が、昭和53〜54年にかけて解体し、昭和63年に史跡指定されている大原幽学遺跡内の教会所跡地に復元されている。




 

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