中尾家住宅
Nakao



唐津市指定文化財 (平成14年6月24日指定)
佐賀県唐津市呼子町呼子3750-2
建築年代/江戸中期
用途区分/商家(捕鯨業)
指定範囲/主屋・勘定場・角蔵・離座敷・裏二階
公開状況/公開

長崎県の北部、壱岐や対馬、平戸に囲まれた海域を西海と呼ぶ。現在でも漁業を生業とする人々が多く住まう地域ではあるが、江戸時代には何と云っても捕鯨業で大いに栄えたことは知る人ぞ知るところである。当時においては、鯨は余すところなく活用できた天然資源であり、食することから始まり、鯨油や楽器の弦など多用な用途に活かされた。当住宅は現在酒造業を営む山下家の所有となっているが、そもそもは捕鯨の大網元であった中尾家の本宅として建てられたものである。西海周辺には、鯨を捕獲するために船団を組み、陸に水揚げした後はこれを解体して用途別に分類するとともに消費地に売り捌くという一連の過程をこなした鯨組と称する一団があり、中尾家はその代表格であった。呼子町は朝市やイカの活造といったイベントで観光分野においてはすっかり有名な町であるが、意外にも港を取り囲むように連なる町家は昔の風情をよく残している。その中にあって当住宅は際立って大きな屋敷であることは云うまでもないことである。


 

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