平成十七年の夏、なかなかまとまらない作品と格闘して、おちこんでいたわたしの所に茶色い封筒が届いた。あけてみると、わたしの作品『メールの中のあいつ』((長谷川集平・絵 文研出版)に対する感想文集がはいっていた。ワオッといったか、ギャッといったかは覚えていない。でも、とにかく興奮して家中をとびまわっていた。
ページを開くと、力強い文字がならんでいた。鉛筆でかかれたそれらの文字は、小学生のその時しかない、きらめきをもっていて、それを見ただけで胸が熱くなった。
読んでいくと、担任のT先生がとても熱意のこもった工夫された授業をされていたことがわかった。一章ずつプリントにして生徒にわたし、会話の所を空欄にして、「ここにあなただったら、どんな言葉をいれる?」そういう問いかけをしてくださったというのだ。なんてステキな授業だろう!
このT先生のはたらきかけで、『メールの中のあいつ』は、わたしの書いた一作品から、みんなで読み感想を言い合ったみんなの作品へと発展していってくれた。これは、作品にとって、このうえもなく幸せなことだと思う。
また、この感想の文集は、先生の強制ではなく、生徒たち自身の話し合いからつくることが決まったという。
このすばらしい文集を、自分の胸だけにおさめておくのはもったいないと思ったわたしは、ホームぺージに掲載するお願いをした。T先生のご協力のもと、このたび匿名ならと了解がとれたので、ここに全員の文章を掲載するはこびとなった。
この春、この文章をかいてくれた生徒たちは、小学校を卒業していく。
ありきたりな言葉だけど、おめでとう。
キラキラした感性をいつまでも大切にして、自分を輝やかせてほしい。 赤羽じゅんこ
2006/3/16 |
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