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女模様


女同士って、比較の対象になったりしませんか?

仲良しだけど、心の何処かで自分に無い物をみつけてしまう。

一緒にいて、いい所を上手く感化されたらいいのだけど・・・


「私って、なんで彼氏と長く付き合えないのかな?」

美咲は、ピンクの炭酸水の泡が付いたストローを

見つめながら有希に言う。

美咲は、お嬢さん育ちかもしれない。両親の元を離れた事がない。

美咲を取り囲む、周囲の環境が変わっても、

暖かい両親の愛情に包まれ、独立をするキッカケを失って今日まできている。


大学時代からの付き合いの有希は、1人暮らしをして数年経つ。

週末は必ず彼と一緒の有希が、美咲は羨ましいらしい。


美咲と有希は、服の好みも趣味も似てる。笑いのツボも似てる。

でも、美咲には出来なくて、有希には出来る事。

それは「彼氏と長く付き合う事」である。


有希は美咲ほど、外で会うデートをしていない。

有希は、お惣菜が半額になる時間には

必ずスーパーに出かける。

そして明日の朝まで食べれる物をチェックしている。

明日をどう生きるか?今日をどう食いつなぐか?毎日との戦いである。

そんな日常の中に、彼と過ごす時間がある。


美咲には、人との付き合いや趣味に没頭する時間が

有希には、彼との共有時間であるのだ。

半額のサラダを選ぶ時間だって・・


美咲には、すでに出来上がった土台の上で、生きている。

時間もゆとりもある。だから、おっとりしている。

有希は言う。「私生活を変える事で、心構えが変わる。

心構えが変わると、近寄ってくる男性も変わるよ」と。


美咲にとって、恋愛は外で会う事であった。

内(家)で会う恋愛をしたら、今までとは違った自分に出会えて

今まで
足りなかった愛情を、補っていけるかもしれない。



ストローの先に付いた、炭酸の雫が

有希の肌の様に思えた。張りのある生活。張りのある肌。

美咲は、自分の足りない何かに気づき始めていた。

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