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素敵な夜


夜空に光るのは、流れ星。まん丸お月様。

真っ暗な空を、一瞬でも明るくしてくれる花火。

この
華やかさを引き立てる為には、闇の中である事が条件。

まだある。闇に映えるもの・・
厚化粧・・・

でも、今夜は化粧を気にしていられない。完全防備で出かけるから。

そう、これから85キロ先の、自然の森に住む蛍を見に行くから。


私は、生まれて初めて蛍を見た。蚊にさされたら困るので虫除けスプレーをし、

そこでしか見れないと言う蛍を見に、友人らと出かけた。

地元の人しか知らないであろう、その道を歩くと

チカチカと光るモノを発見。それは、「蛍」であった。

川沿いにいる蛍は、キレイな水の側にしかいないと言う。


暗闇の中で光るその小さなネオンが、深呼吸している。

光っては消え、消えては光るその輝き。

木の葉で小さいながらも生きている。輝きながら生きている。

「夏のクリスマス」の様。

蛍の光が、クリスマスツリーの光のように見えるから。


蚊にさされたら困る。と思っていたら、変な虫はいないらしい。

その様な虫は、住まないらしい。

「蛍が光るのは、雄なのか雌なのか?」どちらも光るから蛍なのか?

光を発して雌を誘うのではないか?

孔雀は、雄が、あの羽を広げて雌にアピールするではないか。

う〜ん、分からない。こんな下らない会話を交わしながら

坂道を下ると、私の服に蛍が!!両手で囲むと

小さな闇の中で、蛍光色に光る輝きが!

私の手の隙間から零れ落ちる光が、オーラに見える。

緑色をしていたんだね。

呼吸をしているのが分かる。聴こえないけど、ちいさな息が

両手を伝わって目に見えるよ。

この光を連れて行きたいけど、仲間と別れるのが可愛そうだから

森にお帰り。私は、そっと両手を広げると、夜空を見上げて

蛍はチカチカと舞い上がっていった。


感動と、嬉しさと、ため息の混ざった夜空を初めて見た。

あの蛍の様に、私も生きている限り輝きたいと思った。

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