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シャックリが、とまらない。



何処で呼吸のタイミングを狂わせたのだろう?

私はシャックリに悩まされている。

そう言えば「菜の花の色は、何色?」と質問してもらい

「黄色」と答えるとシャックリが止まる、と聞いた事がある。

しかし、部屋に一人の、今日の私に話し相手はいない。

呼吸を止めてみたが、数秒後には効果なしである。

水を飲んでみたが、こちらも何の効果なしだ。


ああ、私はいつまでシャックリをするのだ。

私は窓の外を眺め、ため息をつく。


「シャックリは100回すると死ぬ。」

そんな事を聞いた事がある。

でも100回は、しないだろう?いつもの様に自然に止まるだろう。


しかし、私の思いとはウラハラにシャックリは繰り返す。


私は遠い空を見ながら、このシャックリの数を数えてみる。

数える事自体、かなりの暇人である。
こうして私は今まで生きてきた中で、

世界一、無駄な時間を過ごす事になる。



シャックリは止まらない。気がついたら30分経過。カウントは早くも70。

数える前のシャックリを数えたら100は越えてるだろう。


ああ、私はもう死ぬのか。窓の外の木の葉が、全部落ちたら

私の命も消える。と
悲劇のヒロインになり切ってみる。


シャックリは80を越える。いよいよ私も自分に酔いしれる。

「美人薄命」の一人なのだ。と勘違いをしてみる。

もう、完全に「馬鹿」である。


私は、もうこの世ですべきカルマを終えたのだろうか。

結婚や出産を体験しなかったが、そういう運命だったのか?

しかし、好き勝手出来た我が人生に悔いなしである。



90回のシャックリは勢いを増し、本格的に私を追い詰める。

両親より早く先立つなんて、親不孝ではないか。

私は今まで誰かの為に、役立って来た事はあるのだろうか?


97・・・・・98・・・・99・・・・・



100!



・・・・・・生きている・・・・・


シャックリは、止まらない。私は、生きている。


118・・・119・・・・120・・・


このままカウントしてる私は、
どうやら「美人薄命」ではないらしい。

私は、ゴキブリの様な生命力なのであろうか?



134・・・・135・・・・136




止まった!


私は、単なる暇人である事に気づかされた。

そして、本当に美人薄命ならば、
28年も生きているはずがない事を思い知らされた。

世界一、無駄な時間の過ごし方をした、晴れた午後の出来事であった。

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