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文字で会う場所


私が、電車で通勤していた頃の、時間潰しと言えば

本屋の立ち読みか、薬局屋でコスメを見る事であった。

そんな事にも飽きた頃、

ちょうど新鮮な居場所を見つけた。


その駅のトイレは

ちょっとした「集いの場」であった。

個室で「やり取り」が出来る、その壁は

幾つものメッセージが書いてあった。


「男だけど、女子トイレに入っちゃった〜」と言うメッセージやら

放送禁止用語の並ぶ、怪しい独り言を書く人。

女同士だからこそ、共感してしまう発言など・・

そんなメッセージを見ているうちに、私も参加していた。


私の行く個室トイレは、向かって中央の右端であった。

手を伸ばした以上の、高い位置に書き込む事は不可能。

やはり、用足しをしてる体勢で書いたメッセージだったのだろうか？

視線の位置が合う。足がシビれたのは、みんな同じか。

上に向かう程、長いメッセージが書いてある。


私は、「彼とケンカしちゃった」って人に、返事を書いた。

ここへ書き込みをするのは、同世代だろうな。

そう思い、私はバッグから

「右に回すとシャーペン。左に回すとボールペン」←古い

を取り出し、右に回したシルバーの「ＭＹ　ＰＥＮ」でメッセージを書いた。


翌日、いつもの個室に入ると、私へのメッセージが！！

そこには、「貴方には貴方の良さ、美しさがある。それは

氷山の一角にしかすぎないが、貴方もそんな１人でいて下さい」と書いてあった。


顔も知らない人からの、予想外のメッセージ。

先日、トイレで私の後ろに並んでいた女性は、いなかった。

でも、きっとあの「個室フリーク」の１人だろう。

会話の出来る、個室の「文字で会っていたお友達」

そんな気がしてきて、妙に親近感を感じてしまう事がある。

それは、ネットの様々な掲示板で出会うお友達。

私は「集いの場」に参加している気分になる。

文字で会話をしている。それもいいじゃない♪


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