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KISSを邪魔しないで・・・


木の葉も寒さに負け、「降参しました」と

枝から大地に向かい、静かに舞い落ちる冬。

私達は女3人、温かい車の中いる。

絵にも描けない様な、綺麗な夕日を眺め

ピザマンを頬張りながら、他愛のない話で盛り上がる。


今日は、彼女の彼の自慢のY33シーマを借りて

お出かけであった。

私達は、これから夕日が沈む前に帰る。

私の車は地元の駅に駐車であった。


すたびれた駅の駐車場で、私の車を発見。すぐ向かいに

自転車2台を止めた、中学生カップルも発見。

私達3人は、暫しこのカップルと目が合う。

中学生カップルの男は、左手を女の腰に回し、右の親指は

女のあごを持ち上げている。

どうやら「今日のお別れのチュ〜」をしようと言う光景に

私達は飛び入り参加らしい。


この2人の世界を見事に邪魔するかの様に

私と友達1人は、車を降りMY CARに乗る。

シーマに乗ってるもう一人の友達に手を振る、

私達の行為は、彼らにとっては、さぞかし迷惑であろう。


中学生カップルは、まだ凝固したままである。

男の両手は、引っ込みがつかないらしい。

カップルは、証明写真でも撮影する様な顔をして、

私達が去るのを待っている様にも見える。


その当時の、私の愛車の性別はオスであった。

燃費も良くなく、エンジンは近所迷惑。

BGMの「スーパーユーロビート」は、お決まりの

「イニシャルD」であった。


この私の愛車と、友人の乗ってきたY33シーマ。

シーマは真っ黒で、フルスモークであった。

私達はクラクションを鳴らし合い、「じゃあ、またね。」

と窓を開けて手を振り合う。鳴り響くエンジンが、はた迷惑である。



彼らは、まだ凝固したままである。


自転車の彼らに対し、車の(怖い系?)の私達は

どの様に映っていたのであろうか?


私のバックミラーから消えるまで、

男の両手は、変わらず引っ込みがつかず

二人は凝固したままであった。



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