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自転車に乗って


普段、乗らない二輪車に乗るなんて

なんて新鮮なんだろう。

四輪車に慣れて、早10年。

「走る箱」は、私の「別・個室」でもある。

しかし、二輪車は「個室」では、ない。

なんて無防備な交通手段なのであろう。


私は幼女時代に、自転車の後ろを又がらずに

「女の子乗りする」と言う事に憧れていた。

彼氏の後ろに「ウフフ。オホホ(o^-^o) 」と微笑み

風になびく長い髪と、頬をくすぐる優しいそよ風に

現実逃避するのを夢みていた。


しかし、大人になった今では、自転車に乗る機会どころか

自転車の後ろは、座る物のではなく

「立つ姿」になっていた。

そして、私が自転車を走らせていたのは

学生時代だけであった。


私は、久々に自転車に乗ると言う機会があった。

頬を通り抜けるそよ風が、とても心地いい。

しかし!この下り坂!始めは楽しかったのだが

ブレーキをかけながら下ると、二輪のバランスを崩しそうだ。

スピードを抑えているのに、何故か坂が曲がり角になると

転んでしまいそうだ。


あああ〜!!お気に入りの服を、

転んで台無しにして たまるか〜!!

ヒールのない「自転車用の靴」を履き、いつもの靴をカゴに入れ

盗まれたら泣いてしまうL.Vのバッグを首に掛け

髪の乱れを気にしながら息を切らす。違う汗が出てる・・・

なんとも
不細工な自分なのであろう!


肺活量もないので、下り坂で自転車を降りた。

そんな私を、あざ笑うかの様にオバサンが坂を下って行った。

勿論、自転車に乗ったままである。

なんとも、すばやい慣れた動作なのであろう。

私は、まだ下り坂の途中である。

おばさんの後ろ姿は、もう小さくなっている。


下り坂でも歩いて、上り坂でも歩く私は

自転車に乗っても、歩いても目的地までの

時間は5分しか変わらないようだ。

女子中学生に抜かされても平気だが

オバサンに普通の道路で抜かされた時は

かなり
ショック☆<( ̄□ ̄;)> であった。


私は、バランスの取れた四輪車が一番いい。と思った。

「別・個室」である車の存在を愛しく感じた。

そして、足の付け根と、ふとももの
筋肉通が

2日後に来た
時の虚しさも、改めて感じたのであった。

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