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真夜中のハプニング


ガードレールとは、危険な場所を暗示する。

真夜中に、ガードレールにいる

子供を見たことがあるだろうか?


数年前、当時の彼と私はその場所を通った。

夜11時も過ぎ、明日の仕事の為に

遠出したその道を、帰宅する時の出来事である。


急なカーブの多い、この寂しい土地で

私のFR車のスリップを気にしながら

凍った道路を走っていたのである。


「ああ、楽しかった♪」と私が言う。

その時、下りのライトの先に、ガードレール前にいる

不気味な子供を、私達は目にするのだ。


小学生くらいのその男の子は、

(さあ、次のポーズをしてみましょう!)

右指で、自分の上唇を引っ張り、

左指で下唇を引っ張っている。

そして私達から見て、横顔で立っている。



(本当にやってしまった貴方・・・

周りの視線を感じませんでしたか?)



・・・・私達は、この子供の思考回路を疑った。

数秒間、私達はこの子供と目が合う。

「なんだ?何をしているんだ?悪趣味だな!」と彼が言う。

「もう、良い子は寝る時間だよねえ。」と私も言う。


私達は、雪も降ってきた夜の帰り道を

スリップを気にしながら、下っていった。



あれから数年が過ぎ、友人3人でその道を通る事になった。

「私ね〜、随分前にここで怪しい子供を見たよ」と

その時の子供のポーズをしてみせた。


すると、友人が不思議がって私に言う。

「ねえ、それって
夜中でしょう?おかしくない?

私は、その辺の子供だと思っていたので

何がおかしいのか分からなかった。


「真冬で、雪も降っていたのに、なんで外にいるの?」

・・・そう言われてみると、手袋もしてなかったし、

セーターと言う「いでたち」であった。ついでに
民家もない・・・


「ここだよ」と言い、私が子供と出会った場所を通る。

すると友人は、思い出したように声をあげる。

「・・・ここって心霊スポットってテレビでやってた所じゃない」


「変なポーズをとって驚かせて、
スリップ事故を

起こさせよう!
って思ったんじゃないの!?

と別な友人も言う。


あのガードレールに、車ごと突っ込んでしまったら、

下は崖なのだから、命はなかったであろう。

・・・・・私は、当時の運転が彼で良かった。と思った。

彼は私の命の恩人である。


それにしても
演出の仕方が可愛くないオバケである。

霊感のない私(と彼)でも、オバケに出会えたのだ。

私はオバケに、「中途半端に傷つけられると、意地悪になるが、

もっと深く傷つくと、優しさと思いやりを持てるようになるよ。」と

教えてあげたいが、無理な話である。


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