5円玉のご縁
錆びた金色の、小さなドーナツ型の小銭を見ていると
2年前に、ブラジル人のお客さんから
頂いた貴重な時間を思い出す。
日本語も上手で、気さくな夫婦だった。
「日本人は、閉鎖的ですね。この辺りの地域特色かも
しれないけど。」と私に話しをしてきたのだ。
どうやら彼ら夫婦は、かなりアットホームな人達らしく
日本の生活が無機質で、人工的に感じるらしい。
ブラジルのカーニバルの話、フルーツが色とりどりで
とても美味しい話、そして「日本人がブラジルにきたら
私達は、もっと歓迎して受け入れてあげるのに・・」と
語ってくれた。
商品を通して、知り合えたブラジル人夫婦は
その後も、買い物ついでに私を尋ねてきてくれた。
とても嬉しかった。
そして、半年後、仕事の都合でブラジルに帰る事になったと
知らせに来てくれた。
彼らは「記念にブラジルのコインをあげましょう。」と私に下さった。
このコインは、日本で言うと1円以下の価値らしい。
また「ご縁」があるように。と
私は彼らから日本円の「5円玉」を頂いた。
何かの縁があって、出会えた。
私は、輪の切れている5円玉を見たことがない。
「ご縁」と言うのは、そう言うものではないでしょうか。
どこまでも、人と人の輪(円)の中で生きていける。
錆びた金色は、「ご縁の多さ」なのかもしれない。
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