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女子高校生 愛美の巻き その3


女は、見栄を張りたがる。

女の見栄とは、虚栄心にも繋がるのかもしれない。

「ライフスタイル」・・・・ここにも見栄が出る。

心まで飾らないと気が済まないのか?


女子高生のように、いつも横一列の社会に生きていると

この狭い世界で、いかに自分がワンランク上か?と

他人と比較して、
自分のアイデンティティを確保する。

「私は、みんなと違うでしょう?」と優越感を感じる瞬間に

賭けているものである。


愛美の自慢は、彼が車を持っている事であった。

彼の事は、お兄ちゃんのように慕っているのだ。

「17歳って、こども〜?」と上目使いが出来るなんて

羨ましい。


「28歳って、こども〜?」と私が言ったら、
世間様に

どつかれるであろう・・・・


愛美の自慢は、放課後になると学校の前に

白のマジェスタが愛美を待っている事だ。


仲間うちで、車持ちの彼がいるのは愛美だけなのだ。

自転車の後ろに立つなんて、イヤ。

バイクのヘルメットなんて、かぶりたくない。

子供の頃は車と言ったら、後ろの席だった。

でも、今は助手席。それも彼の・・・


助手席のドアを開けると、彼が「待ってたよ」と言う。

周りの視線を浴び、愛美は気分爽快である。

背伸びして、今日は大人っぽい香水にしたの。

これから、ゲーセンで遊ぶ。

愛美は、友達達に手を振る。「いいな〜」と言われる。

この瞬間が好き。


・・・でも、この頃、仕事が忙しいのかな?

愛美のノートは、黒板の文字ではなく、

寂しい気持ちばかりを綴っている。


愛美を待つ、放課後の白いマジェスタもない。

先行きが曇ってきた愛美は

バレンタインデーの日は、学校を休んだ。


チョコレートを受け取ってもらえないからだ。

仲間たちが楽しそうに手作りチョコの

話をしている。

愛美は、自分を待つマジェスタが現れないのを

見られたくない為に、見栄を張る。


女の見栄とは、実に虚しい物である。

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