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女子高生 愛美の巻き その2


愛美は「くまのプーさん」が大好きであった。

「プーさん」のぬいぐるみは、17歳の誕生日に

親友からのプレゼントであった。


愛美の二つ年上の先輩は、「出来ちゃった結婚」をして

すでに子供は3歳である。

先輩と子供が、愛美の部屋に遊びに来た事が、

愛美の不幸の始まりであった。


愛美は、彼氏の事を相談したいが

ギャーギャー騒ぐ子供に気を奪われる先輩。

愛美は、ベットの上に飾ってあった「プーさん」を

「これ、貸してあげる」と子供に預けた。

これで子供は静かになるだろう。と思ったのだ。


すると先輩、「うわ〜!愛美、いいのぉ?カワイイ!」

と喜んだ。しかし愛美はこの先輩の

「勘違い」を知らされる事になる。


「彼氏の車に、私のではないピアスがあったんです。」

と愛美が言う。その時、

子供はプーさんの鼻によだれを垂らす。

ああ、親友にもらったプーさんが・・・・と愛美は悲しくなる。

「うんうん、そうか、あ!何してんの!食べないでよ!

そんな事したらママがプーさんもらっちゃうよ〜」



・・・・・・愛美は耳を疑った。


まさか貸すつもりのプーさんを、先輩は勘違いして

「あげる」と受け取ったのであろうか?


彼氏の浮気発覚より、目の前のぬいぐるみの事を

心配になる愛美。本来ならば、彼氏の事情の方が心配ではないのか?



先輩は「ギャルママの集い」の連絡が入り、愛美の話については

「明日の夜なら旦那が帰ってこないから、電話をかける」と言う。


先輩が、自分のリュックにプーさんをしまい込む。

愛美の黄色のぬいぐるみは、

・・・・・もう、ない・・・・



「返してくれ」と、言えるはずがない。

年下の立場は、なんとも弱いのであろう。

愛美は、ポッカリ心に穴が開いたようであった。


先輩と子供の背中を、哀愁の目で見送る・・・


愛美は親友にもらった、ぬいぐるみがベットにない寂しさを

黄色のクッションに置き換えてみたが、可愛さが足りない。



プーさんの不在を不自然に思ったのは、愛美の母も同じであった。

そこで愛美は、母の提案により、持ち物に名前を書く事に決めた。

「さくらぐみ あいみ」と。


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