トヨタ自動車にひとこと言わせて


(2002年9月18日)

9月8日(日)の読売新聞朝刊に、「第29回国際福祉機器展」に寄せて、トヨタ自動車の広告が掲載されている。
バリアフリー社会を目指し「快適な移動の自由」を提供しているトヨタ自動車は、福祉車両への取り組みにおいて先駆的な役割を果たしてきている。福祉車両=トヨタのイメージは、もう一般にも普及しているのではないだろうか。「移動の自由と介護を支援」トヨタのウェルキャブと銘打ったウェルキャブシリーズで、多くの人が移動の自由を手に入れ、アクティブライフを楽しんでいる。

我が家でもトヨタの電動リフト付きのノアを購入して、娘の移動や外出が容易になり生活の質が格段にアップした。我が家の場合車椅子が特殊(大型のフルフラットタイプ)であるため、利用できる機種は限られている。しかし、私たちの手の届く予算の範囲で電動のリフト付きの車両が買えることは喜ばしい事である。電動のリフトが付いているだけで100万円以上高くなるはずであるから、普通の価格で買えた時は感動さえ覚えた。

しかし、何かおかしい。そう、内装設備がひどくお粗末である。つまり、リフトが付いている分内装や設備を削って低価格を実現していると思われる。パワーウインドウも付いていない。シートはまっ平らで堅くビニールを張っている。軽トラックの内装よりひどいかもしれない。(普段軽トラックに乗っておられる方には語弊があるかもしれません。お許しください。)

200万円以上する車でこのような内装設備の車があるだろうか?これはおかしいと思う。リフトが付いていても付いていなくても同じ価格にするべきではないだろうか。リフトはどうしても必要であるから付ける物であって、贅沢品ではない。高級車にはそれなりの内装設備があるからそれに見合った価格は当然である。

2001年現在、ウェルキャブの販売台数に占めるパーソナルユースの割合は76%と法人向けを大きく上回っている。このことはウェルキャブがただの移動の手段ではなく通勤やレジャーにも使われているということではないだろうか。そうであるならば内装設備が普通でなおかつリフトが付いているという事を可能にしていただきたい。

需要が少ないから価格が上がるといったことや、企業や経済のシステムなどすべて度外視して、発想の転換を図っていただきたい。ユニバーサルデザイン(注)を考えるなら、真のバリアフリーを考えるなら、障害者であっても健常者であってもリフトが付いていても付いていなくても同じ条件で車を購入できるようにしなければならないと考える。

荒唐無稽な素人の考えと一笑に付されるかもしれないが、トヨタ自動車に限らず他の福祉車両を手がけるすべてのメーカーに御一考をお願いしたい。

(注)ユニバーサルデザインとは、年齢や障害の有無にかかわらず誰にでも使いやすいデザインの事です。

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