極秘任務のフリーズET

本当は今までした事のない4月辺りにと考えていた。
それが担当の先生の退職話を聞き、気持ちが焦って思わず言っちゃった「3月にします」宣言。
でもこの位で良いんだろう。この位の気持ちがちょうど良いんだよね。

2月の時点で3月のフリーズを決めちゃったけど、3月の頭には夫側の親族との旅行があった。
決して悪い人たちではないし、応援もしてくれている。
しかし彼らの応援が時に煩わしく感じる事もある。
せっかくの旅行だし、私も気分を害されたくないからと言う理由で、3月のETは誰にも言わないと言う事になった。
しかしその時点では親族限定となっていたはずだったが、いつの間にか極秘任務に変わっていた。(笑)
知っている人は本当に極々わずか。
治療をしている事をオープンにしている私たち夫婦には初めてのことだった。
あぁ言いたい。言っちゃえば楽になるんだろうに・・・。
こんな気持ちを味わったのは初めてだったのだ。

しかも言っていない事の後ろめたさや、心苦しさ。そして秘密を抱えた少しのワクワク感。
とても不思議な気持ちだった。

しかし夫はまたやらかしてくれたのだ。
排卵日を再度hcgにて作り出したその日、夫の高熱。
何故に夫はICSI前や、ET前に高熱を出すのか??
今回は最高の9度4分。
慌てて病院から帰り、家へついたらまたまたそのまま近所の病院へ。
初めての場所だったけどすぐに熱を下げるべく、座薬に点滴。
その間に私は買い物をしてから家に帰り、夫と寝室を別にして夫が帰ってきても風邪が移らないようにした。
私の寝室は北向きの寒い和室。(笑)

そして診察の結果はインフルエンザではなく風邪だった。
しかし時すでに遅し。私も絶不調になっていた。
でも薬は飲みたくない。
ETまではあと2日間だけ。
その間にどうにかしなくては!
水分をたくさん取って、喉の痛みを感じたらすぐにうがいとノドスプレー。
ビタミンCも摂取した。
あとはひたすら睡眠あるのみ。

ET前にこんなに疲れるとは・・・。
しかし極秘という言葉が、甘く響いていたりもするのだった。

体調は悪からず良からずの状態でET当日。
微熱状態で残っていた7個の受精卵を戻した。
しかし1つは壊れかけていた様子。
グレードは中位のものから、下の下までの6個と、壊れかけた1個のタマゴ。
今回こそは絶対に付きますように・・・。

ETごの生活は至って普通。
お姫様生活なんて何処に行った?
天気も良かったので、散歩がてらに買い物に行ったり、家事も普通にやっていた。
今回は動いて動いて血流アップ大作戦だった。

風邪はというと、夫は病院で出してもらった薬を飲んでどうにか体調も戻っていた。
そして私のほうは、薬も無く、自力で治してみた。
自然治癒力という言葉をこれほどにも感じた事は無かった。

そんな中、2月の時点で判っていたことだが、担当の先生が大学病院を辞める事となった。
その為に3月に急遽ETとなった訳だが、それについても悩んでいた。
元々IVF−ICSI専門の外来があったのだが、今回でそれ自体が無くなると言うのだ。
ただ不妊外来と一緒になり、希望があれば他の先生が手術を行う事となるのだ。
しかしその他の先生と言うのは以前IVFにいた先生達なのだが、実は採卵はメインの先生しかしたことが無いのだ。
これは本気で大問題!
採卵だって動脈を傷つける恐れだってあるのだ。
それをあまり経験の無い先生だと解かって身を任せられるだろうか?
答えは決まっている。転院・・・。

メインでみてくれていた先生がお父様と一緒に開業された病院か、もしくは違う病院。
着床していなかったら、これらの事も本格的に考えないといけないのだ。

悩みは尽きないと言うのに、こうゆう時に限って義母の電話攻撃があったりする。
あの人は本当に怖い存在である。
いつもはそんなに電話などしてこないというのに・・・。
間が良いというのか悪いと言うのか。

しかしETをしたことなど無かったかのように話をする楽しさもあったりするのだ。
これまたどうして、不思議なものである。
話の内容は治療には全く関係の無い話だったりするのが唯一の救いだ。

今回のETは本当に忙しく、慌しく過ぎ去っていった。