結婚してからの話


私たちは1996年に結婚しました。
出会いからわずか1年後の出来事でした。
当時はまだ若く、そして金銭的な余裕もあまりありませんでした。
しかしそんな生活もとても楽しく、今でもいい思い出の一つです。

結婚後すぐにでも赤ちゃんが欲しかったのですが、なかなか出来ないまま1年・2年と経っていきました。
さすがに自分でもおかしいなと思い、病院の文字が私の頭の中を駆け抜けていきました。
でも、もし私が原因だったら?
もし赤ちゃんが出来なかったら??
どうしよう・・・どうしたら良いんだろう・・・。

病院にはやっぱり怖くて行けない。
でも自分で出来る範囲でどうにかしなくっちゃ!
そこで私が考え付いたのは「基礎体温」。
毎朝、同じ時間に布団から動かずに測る体温のこと。
でも朝が弱い私には長続きがしなかった。
そこで次に挑戦したのが、排卵測定。
妊娠チェッカーの排卵版がこれ。
当時は1セット4000円以上だったかな?
生活費からは結構痛い出費。
でも病院に行くと思えばこれも仕方がない。
そんなこんなの状態で、早3年。
もう子供の事はいいや〜。
そのうち出来るよ、きっと。
もう考えるのも面倒くさい。
当時はこんな気持ちだった。

出来る範囲で頑張っても、赤ちゃんは私たちの元に来てはくれなかった。
そうしている内に友達にも1人、2人と赤ちゃんが産まれて来る。
赤ちゃんを見るのはあの当時でも、今でも大好き!
早く私も赤ちゃんが欲しいな〜なんて優しい気持ちになれる。

そして夫の会社の社宅が空いたのを期に引越し。
世間ではよく引越しとかで環境が変わったらすぐに出来るって言うじゃない。
そう友達から聞いた。
しかしそれは世間で言う話であって私たち夫婦の話ではなかった。

私の中ではドンドンと病院の二文字が大きくなっていった。
そこでこの怠け者の私にもちゃんと長続きするように、アラーム機能や記録機能のある体温計を買うことにする。
4月から体温を測りはじめて、7月か8月には病院に行くつもりだった。
夫にも周りの人たちにも病院に行くからと公言して、自分を追い込んでみた。
でも追い込まれたのは私だけで、夫は平然と知らん顔で過ごし続けていた。
今思えば、夫も怖かったのだろう。
そんな夫に甘く接してしまい、私は夏の病院デビューを秋に、冬にと先延ばしにしていた。

もう病院に行くタイミングも無くなってしまった。
そんな矢先に友達の家に遊びに行ってた。
友達はインターネットを始めていた。
パソコンのみは家にあったが、繋いではいなかった。
いろいろと教えてもらいながら、お散歩したりしていたら不妊症のサイトを沢山見つけた。
「あ、家も繋げよう!」
そして家に帰った私は急いで電話線やらを買いに走った。

それからすぐに手続きを済まして、いざネット生活へ突入した。
自分のパソコンでお目当てのサイトへ行ってみた。
そこで同じ思いの友達も出来た。
でもみんなはAIHだのIVFだのと、聞きなれない言葉を話している。
私は不妊雑誌を片手に、勉強をした。
人工授精と体外受精の違い。
最終的な治療方法は顕微受精ということ。
男性不妊も多く存在する事。
そして不妊症と戦いながら母になった人たちの事。

私はそこでやっと病院に行く事を決心する。
その時点で結婚して5年が過ぎようとしていた。