マサラ日記     previous«  »next

5月6日(木) 

 夕刻より、東京外語大ウルドゥー語、ヒンディー語各専攻新入生のオリエンテーションとして「アジャンタ カレッタ汐留店」にて、料理レクチャーつき食事会。

 参加者のみなさんのためにも、出された料理を軽く整理してご紹介しておこう。

・ドーサ…インド亜大陸の主要な食材である挽き割り豆(「ダール」と総称される)のひとつ、ウラド・ダールと米の発酵生地によるクレープ風軽食。典型的な南インド料理のひとつ。
・パコーラー…ベースン(チャナ・ダールの粉末)をつなぎに各種野菜をボール状のかき揚げ風に揚げたスナック。インド亜大陸各地で、さまざまなパコーラー、さまざまなスナックが食べられる。
・ココナッツ・グリーンチリ・チャトニー…ココナッツと青唐辛子などをすりつぶした「たれ」。これまたインド亜大陸全土にさまざまなチャトニーがあるが、これは南インド風。ドーサやパコーラーにつける。今回のは比較的、日本でめずらしいタイプ。
・ナスのサンバル…サンバルはトゥール・ダールと各種野菜の煮込み。南インド菜食カレーの真髄のひとつ。ドーサやパコーラーの「たれ」にするほか、ごはんにかけてもおいしい。
・タンドゥーリ・チキン…タンドゥールという土窯でローストした骨付きチキン。元来はインドとパキスタンにまたがるパンジャーブ地方の郷土料理。けっしてインド亜大陸の全国区メニューではないことに注目。
・シーク・カバーブ…マトンの挽き肉にスパイスやハーブをミックスしてタンドゥールで串焼きにしたもの。本来は焼き鳥式に炭火グリルで焼く。
・フィッシュ・ティッカ…魚の一口大角切りのヨーグルトやスパイスに漬け込んでからタンドゥールでローストしたもの。本日はメカジキを使用。
・ナーン…日本をはじめ、全世界で有名な「インドのパンの代表」。しかし、これももともとはパンジャーブ地方の郷土料理。やはり全国区メニューではない。
・カブリ・ナーン…レーズンやココナッツをはさんで焼いた、ちょっと甘いナーン。
・ホワイト・ライス…白いジャポニカ米。
・チキン・チェティナッド・マサラ…ネーム・プレートには「チキン・マッカーニー」とあったが、食べたら、予想通り違う料理だった。南インドの典型的なチキンのスパイス煮込み。
・マトン・コルマ…マトンをナッツ類などでマイルドに煮込んだカレー。マトン料理につきもののミントの葉もちゃんと入っていた。
・キーマ・マタール…チキンの挽き肉とグリンピースのカレー。アジャンタ定番カレーのひとつ。
・ミックス・ベジタブル・ダール・カレー…各種野菜とダールを煮込んだ菜食カレー。
・スージ・ハルーワ…粗挽きセモリナ粉とギー、砂糖を加熱しながら練り込んだデザート。
※学生のみなさん、より正確な発音や表記が気になる場合は先生方にお聞きください。

 今回はお店のご好意で、南インドで「ティファン」と呼ばれる軽食、おなじく南インド式の「たれ」やカレー、北インドやパキスタンでおなじみのタンドゥール料理やパンなどと幅広いチョイスで料理をつくっていただいた。チキン、マトン、野菜の各カレーは、ふだん店では出さないメニューである。

 丸一日の充実したオリエンテーションの終盤にも関らず学生さんたちの熱気は相当なものだったが、食欲も負けず劣らずかなりの盛況ぶり。どんどん料理が減るのは見ていて壮観だった。麻田先生はじめ、担当教官や先輩学生のみなさんもお疲れ様でした。

 ともあれ、新しい食世界との出会いは貴重なもの。多くの学生さんたちにとって今回初めてだったはずのインド料理体験が、今後の糧になれば光栄だ。