5月5日(水)
ブルース、R&B、ゴスペルのカバーばかりで構成されたエアロスミスの新譜を聴いたら、予想通りの駄作でガッカリ。
これまで、シャングリラズの「リメンバー」、ビートルズの「カム・トゥギャザー」などをオリジナルの合間にすべりこませることで、うまくカバーのおもしろさを醸し出していたが、もともとブルース的演奏のヘタな彼らのこと、ソニー・ボーイ・ウィリアムソンやリトル・ウォルター、フレッド・マクダウェルなど、黒人ブルース・ミュージシャンのエグい作品はいかにも荷が重く、平板でつまらない出来になってしまっている。
カバーバージョンにおいては演奏の表現力と同時に、選曲自体がミュージシャンの資質を表すカギとして重要である。
だいたい原曲のレベルが高すぎると、カバーは失敗しやすく、それが黒人ブルースだったりすればなおさらである。その点、今回のエアロスミスは自分たちの身の丈からはずれた選曲をしてしまっている。
こうした点、好ききらいは別として、今でもストーンズやエリック・クラプトンはやはりすごい。ブルース・ルーツのカバーをするときの選曲・演奏力の懐の深さはエアロスミスとは雲泥の差。さすがに年季が違う。
オリジナル作品はバツグンなエアロスミスが、今なぜ、わざわざカバー集なのか。人間、向き不向きがあるはずなのに、自分でわからなかったのだろうか? 自信過剰? これを機に下降線をたどらねばいいが。ちょっと不安である。