★ 過去の記録・Boys 7・・・浮気男は一生浮気男

ヤツはオージーで、初めて会ったのは英会話教室。実は、あん頃、『朝起きて、会社行って、帰宅して、寝る。』という毎日を送っており。これでは出会いもくそもないだろう、と思い。社内研修でも受けてみるか、でもマジで勉強するのはイヤだなぁ、なんて単純な理由で。英会話のクラスを選んだ。勉強する必要ないもんねぇ〜。

で、講師がヤツだったのよ。やっぱ、ワタシ、って目立っちゃってたみたいで。授業の代わりの『英語オンリー宴会』をしたとき。ちゃっかり目の前に座られた。宴会が終わるころ、小声で、『電話番号教えて』と言われてねぇ・・・。な〜んだよ、コイツ。雇われ講師がこんなことしてもいいのかよぉ、って思ったのだけど。一瞬ね。でも、そもそも、この授業、出会いを期待して受けたのであって。しかも、出席したら、みんな、新入社員くらいの若さで。で、ガイジンって、結構パーティーとか好きだし。まぁ、コイツと個人的に親密になる、ってよりは、コイツの友人達に興味があって。トモダチの輪が広がるんじゃないか、って思って。電話番号、教えてあげました。

週末に、電話がかかってきた。土曜日にパーティーがあるんだけど、来ない?って。よっしゃぁ〜、ってリキ入ります。早速パーティーですか。新しいトモダチ。モチロン、『行きまぁ〜す。』とお返事。

しかし、出会いを求めて参加したこのパーティー。参加したほかのひとたちは、みんなカップルだった。つまり。ワタシはコイツとカップルなのだ。ちぇっ。しかも場所は池袋のライブハウス。ちぇっ、ちぇっ。(ライブは結構よかったけど。)参加者はみんな、ワタシとコイツをカップル扱いする。仕方ないか。・・・で、コイツが自分の自宅の電話番号を教えてくれたのだが。かけてくれてもいいけど、ちょっと事情があって、と言う。なに?

コイツ、既婚者ではなかったけれど。T香という女性と同棲中だった。もう、関係は崩壊していて、あとは引っ越すばかりだけれど。引越し先が見つからなくて、とか。そういう説明だった。そん頃は、なんでそんな説明までするんかなぁ、て思ったのだけど。

高飛車な言い方になるけど、結局コイツはワタシにご執心だったわけで。だんだんワタシも傾いてっちゃったワケよ。ワタシもいい加減、いいトシていうか。一昔前だったら売れ残り、と言われるような年齢で。愛するより愛された方が幸せ、なんて無責任なこと言ってた先輩方も沢山いらっしゃったし。こうして、ワタシは、本格的にコイツと付き合いだすようになったのだ。

ところが。

ある日、職場の課長に呼び出された。何の話かと思ったら。『T香さん、って知ってる? 今日ね、この人のお母さんって人から電話があってね。あなたがT香さんの婚約者を奪ったとか、そういう電話してきたのよ。心あたりある?』

は・・・? 『半分、ありますけど。なんで課長に電話があったんですか?』

『ボクもよくわからんのよ。でも、先方は、かなり怒っていたみたい。こういうけしからん女性を部下に持ってどう思いますか、とか聞かれちゃってねぇ。』

ワタシの聞かされていた話と違います。この女性と彼は婚約なんかしていませんし、もう、別れています。たぶん、ご両親に、同棲までした相手と別れることになったのが、恥ずかしくて、本当のことが言えなかったんではないか、と思いますけど、って言うと。課長は、あぁ、そういうこと。タイヘンなことに巻き込まれちゃったねぇ。コレ、この人のウチの電話番号。まぁ、あなたも気をつけてね、と言って面接終了。

あったまきたぁ・・・・。ワタシ的には。母親の気持ちとしては、現在の事情を知らされていないのなら、怒って当然だと思うけど。思い込みでこんなことされてはたまんない。電話しました。その母と話しましたよ。不倫だなんだ、ってガァ〜ガァ〜言われて、挙句の果てには『訴えてやる。』まで言われて。カッチ〜ン・・・。『ちょっと。お言葉ですが。お宅がウチの会社にまで電話してきて。赤の他人の課長にそっちの勝手な思い込みでウソ八百吹き込んだってのは、立派な名誉毀損です。お宅は、なんか事情勘違いされてるようだから。ワタシなんか訴えても、どうにもなりませんよ。お宅が恥かくだけです。けど、この名誉毀損は、ウチの課長も証人ですから。立派な罪です。そんなこと言うなら、ワタシもお宅を訴えますよ。』と言い返したら。『ウソ八百とはどういうことですカッ!』と、あっちも引かない。

・・・なんか。ぜったい、これ、おかしいよ。別れ話の出ていたことは、彼本人だけでなく、廻りの友人たちも知っていたことなのだ。お母さんが知らないだけなのだ、きっと、と思い。

『あの。なんか、誤解があるような気がします。会ってお話しできますか。お宅のお嬢さん抜きで。ワタシの知っている事実と随分違います。』と言ったら。すんなり、承諾された。

約束の日。あっちは、結局娘を連れて来たのだよね。話が違うじゃないか。このお姉さん、見ただけでコワイんだよね。まぁ、背も高くて、もうちょっと美人だったら、モデルさんみたいな感じなんですが(派手、ってことですが)。本人の前では、『あんた、ウソ言ってるでしょう!』なんて言えないじゃないか。あっちが持ってきたものは、今ままで済んでいたマンションの契約書と敷金礼金の金額の証書とか。『コレ、全部ウチが払ったんですよ!』って言われたって・・・。んで、まだワタシを訴えるとか間抜けなこと言ってるのよ。参ったよ、まったく。

裁判に記録残されるのは迷惑ですが。そちらがどうしても、っていうなら。どうぞご勝手に。でも、ワタシも名誉毀損で訴えますよ。事情の真偽がどうであれ、第三者にべらべらワタシの不利益になるようなこと吹き込むのは、立派な犯罪ですから、って言ったんですが。

で、結局、裁判も何もなかったんですが。他の友人たちの助言(あの女は、ホント、鬼みたいなヤツで、とか。癇癪もちですぐ怒る、怒ったら何するかわからない。クレイジーだ、なんて言うんだものねぇ〜)、もあり。同情しちゃったり。よく目もあり。とにかく、彼本人に望まれて。私たちは結婚しました。しちゃったんですよ。

 

なるべく手短に、完結に書こうとして、かなり端折ってしまった。別にスピード結婚したワケではない。2年ちょっとお付き合いした上で、決めたことた。今思えば、やっぱ、ワタシは焦っていたのだと思う。更に、男を見る目もなく・・・。

この彼は。結婚1週間後から呑みにでかけると翌朝の始発で帰宅するようなヤツだった。でも、当時は、当然、ワタシ、信じてました。外泊、というより。友人達と朝まで呑み屋にいた、とか。至便なところに住んでいる友人のところに転がりこんだりとか。帰れない時は連絡しろ、と言ってあったので。居場所はわかっていた(つもり)。

なので、最初はピンと来なかった。結婚して3年目のことだ。また、朝帰り。いつものことだ。しかし、このとき、一緒に飲んでいたハズの来日していたオージーから、夜中の2時ごろ、電話があり、『まだ帰ってない。』というと、『あれ?一緒に出たんだけど。ボクの方が先に着いちゃったんだね。もうすぐ帰ると思うから。帰ったら電話くれるように言ってくれる? 何時になってもいいから。』 と言われていたのに。その日、ヤツは帰ってこなかった。翌朝、また、同じひとから電話があったけど。ヤツはまだ帰宅していない。メッセージを残してくれた方がヤツも喜ぶかな、って思って電話には出なかった。昼前にようやくご帰還。

『スティーブから電話があったよ。電話くれ、って言ってたのに。』というと。

『あ、そう。』と言って、受話器をとりかけたので、

『今朝、また電話があってね。午前中の飛行機で帰国する、って。話ができなくて残念だ、って留守電に入ってるよ。』

『あ、そう・・・。』

なんでこのとき、おかしい、って思わなかったのだろう。疑り深いヤナ女にはなりたくない、ってだけで・・・。

翌週の金曜日は、アルバイトでやっている英会話クラスの『おばさま方』とお食事会がある、と言って出かけていった。この日は午後11時ごろ帰ってきたので。別に疑いもしなかった。

しかし、そのまた翌週の、しかも月曜日。今度は公立の学校(職場)の先生が転勤になったので、送別会がある、という。この会自体は本当にあったのだが。私が帰宅すると、ヤツはまだ家にいて。『あれ?行かないの?』と聞くと。『えっ? 今何時? しまった!』と慌てて支度を始めた。先生のひとりから電話があり、『みんな、待ち合わせ場所の喫茶店で待っているんですけど。いらっしゃれないなら、いらっしゃれないで。連絡くださらないと困ります。』と。

『す、すみません、今支度してます。もうすぐ出れます。』

『えぇ〜? これから出るんですかぁ?』

『あ、でも渋谷なら、15分くらいで着きますから。申し訳ありません。』

ひたすら『ワタシが』謝って。ヤツは出かけていった。そして、連絡もなく。帰宅しなかった。こっちは、事故にあったのではないか、とか。酔っ払って、どっかで伸びているんじゃないか、とか。心配した。学校の先生たちと一緒で、こんな時間まで呑みまわってる、なんてありえないもの。他の先生がたは、翌日も授業があるのだから。やっぱり事故か。

ヤツは、始発にも乗らなかったようだ。ようやく、なんか、ヘン、と思い出す。いや、事故かもしれない、って心配もあったが。

・・・で、ワタシは結婚してから初めて、彼の居所を確認するため、チェックの電話を入れることになる。

学校へ。前日お話しをした先生を呼び出して、何時ごろ『お開き』になったのかを尋ねた。

『えっ・・・? 先生、いらっしゃいませんでしたよ。あれからケイタイで連絡が入って。やっぱり今日はやめる、って。どうかなさったんですか?』

こっぱずかしぃ〜。でも、しょうがない。まだ、事故かも、って心配もあるから。仕方なく事情を話した。実は帰って来なかったんです、と。電話に出た先生は、『心配ですねぇ。なにか、こちらで判ることでもあれば、すぐご連絡します。』と言って電話を切った。

だもんで。ワタシは会社を休んで、ずっと自宅にいた。昼過ぎに、ヤツはの〜の〜と帰ってきた。カウチに座っていた私を見て、焦ったようだ。『か、会社じゃないの?』

会社なんて行けるか、ばかやろぉ〜。帰れないときは連絡しろ、って言っただろう! しかも。あんた、昨日の送別会、欠席してるんでしょう? ど〜なってんの!?

すると・・・。暗い顔をして。『話がある・・。』

う・・・。コレは。当然、嫌な話なんだろうなぁ・・・。ひょっとして、気が変わって、いつもの呑み仲間とでかけちゃったんだよ〜ん、と言うものかと思っていたのに。

結局。スティーブと呑みにいった日、その飲み屋で出会った女に引っ掛けられて。実は翌金曜日のお食事会は『おばさまたち』とではなく、彼女と行ったと。そして、月曜日。ワタシが学校に確認するとは思わずに(チェックいれたこと、なかったもんなぁ)。行ってきま〜すとウチを出て。女に会いに行ったのだという。しかし、この期に及んで。まだウソをつく。呑み屋とか喫茶店をハシゴしていただけだと。泊まってはいない。そういう関係ではない、とか。

  @ ご宿泊なしで貫徹して、昼過ぎまで持つか?(チェックアウトして食事、だね。)

  A 出かけたとき、ヤツのプルオーバーの裾はGパンの外にあった。今は中にたくし込んでいる。

Gパン脱いだでしょう? 別に・・・。いつもはそんなにワタシも鋭くない。ただ、帰宅したとき、たくし込まれたセーターが、なんか不自然で、あれ? って気付いてしまっただけだ。(この日、あくまでヤツは『泊まっていない』と言い張っていたが。後、離婚するときになって、白状した。)

離婚する気はない。彼女とは別れる。すまない、と『口先だけで』謝る。

しかし、ある日。ひょんなことから、タイヘンなものを見つけてしまった。

高校時代の同級生から、同窓会のお知らせが届いた。メールアドレスが記されていたので、『自宅から』メールを打つことにした。自宅に一台しかないPCから。

メーラーを開くと・・・・。ヤツと彼女のメールがどっさり残っている。アイツ、ばか? それとも、これ、わざと?

当然、読むでしょう。もう、絶句だった。

むしろ、彼女の方が『こういう関係はよくないと思う。』と言っている。ヤツの方が彼女を引き止めている。そして、完全にぶちきれたのは、『ボクは家を出る。君のためではない。もう、彼女(ワタシ)との関係は、キミに会う前からダメになっていた。云々・・・。』

なに、それ? 初耳です。しかし・・・。彼に出会った頃を思い出した。そして、ようやく、当時のT香という女性の立場が理解できたような気がする。こうやって彼は、T香さん以外の、そして今はワタシ以外の廻りのひとと新しい女に、T香さんが、そして今はワタシが、どんなにイヤな女か、みたいなことを吹聴していたのだ。地盤を固める、っていうか。みんなに同情されるために。

それから。ヤツの財布を調べると。ラブホテルの領収書がバラバラ出てきた。こういうところでクレジットカードなんて、使うか?ふつう・・・。それから、イタメシ屋『お二人様』のレシートとか。ワタシには居酒屋『天狗』でしかご馳走してくれないくせに。

腹がたって、それから力が抜けて。だるくなって。気付いたらすごい発熱。弱いところが直撃されたようだ。腎臓を患ってしまった。1ヶ月も入院することになった。

その間、彼はほとんど毎日のように見舞いに来る。機械的に、なんだろうが。病院では『まぁ、い〜だんなさまねぇ・・・。やっぱり、あちらの方って、女性に優しいのねぇ。』・・・・う〜ん・・・。作り笑い。

少しは反省しているのだろうか。こうなった原因はあんたにもある、って判っているのだろうか。

しかし、コレも後、判ったことだが。ワタシが入院しているのをいいことに。ヤツは、見舞いに来たその足で、毎昼(彼女の昼休み)、毎夜、あの女と会っていたのだ。

退院してからも、この女に会っていることがわかり。だって・・・。毎晩のように、きっかり10時くらいになると、ビールを買いに行く。ワタシが帰宅前にビールを調達しておくと、タバコを買いに行くんだもの。オカシイと思ってマンションの上から見学してたら。アイツは公衆電話を使っていた。自宅の電話やケイタイでは記録が残っちゃうからね。

どういうことか説明しろ、って言ったら。あっちがブチ切れた。『こうやって一生ボクは疑われるのか?耐えられない。』とほざく。

疑い? 違うだろう。これは事実だ。こんなことされて、盲目的に信じることなんかできないだろう。それは信じる、ではなく。騙される、というのだ。

それから約2週間後。離婚することになった。

こんなヒドイヤツとの離婚だというのに。涙が止まらなかった。悲しいのだか、悔しいのだか。とにかく、こんなに涙、って出るもんなのか、ってくらい。

最初は。結婚している♂にちょっかい出すなんて、どういう雌豚だっ! って思ったけど。落ち着いて考えると。きっと彼女は、ワタシが騙されたように、騙されていたんでしょう。今ごろ、ど〜なさっていることか。他の女に鞍替えされてるかもしれない。さんざんヒドイこと吹聴されて。いや、ワタシとしては、彼女には、こういう男だってこと賢く見抜いてもらって、スパッとヤツを捨ててほしい、なんて願っちゃったりしている。少しは痛い目に会って見ろ! 過去の女たちの痛みを知れ!・・・ってね。

離婚することになったとき、彼の姉に『あんたたち、どれくらい一緒だったんだっけ?』って聞かれた。結婚(届を出す)前からだと。5年とちょっと、と言うと。彼女は、『うわぁ・・・。あの子の付き合いでは最長記録だわ!』

そんなこと・・・。結婚する前に教えてくれよぉ・・・。

けど、義姉さんいわく、『あの子が結婚したい、って言ったのは。あんたが初めてだったのよ。だから、今度は違うのかな、って・・・。』

ちなみに、彼がワタシに対する興味を失ったのは(まぁ、お姉さんに言わせると。飽きっぽいので、1年持てばいい方だ、ってことですが、そのほかに)、ワタシが尽くしすぎてしまったからのようだ(ついでに言うなら、ヤツはワタシにまだ、150万円の借金がある。慰謝料ではない。純粋に立て替えてたカネだっ!)。出会った頃は嬉しそうにしていたのに。5年も経つと事情が違ってきたらしくて。更に、ワタシが頼ったり甘えたりしないものだから。『キミはボクのワイフではなくて、母親みたいだ。』って言われたことがある。(そうねぇ・・・。今、男手なくて困るときって。かった〜いビンの蓋が取れないときかな。)それから。仕事とボクとどっちが大事なの、なんて間抜けなコトも訊かれたっけ。あんたの稼ぎがもっとよかったらね。ワタシは専業主婦になりたかったよ。・・・って。寿退社なんてしてなくて、ホントよかった。・・・・疲れた。

でもね。ささやかな仕返しはしておいたよ。ふっふっふ。