SLIDING DOORS (邦題: スライディング・ドア)

 ©1998 Intermedia Films [UK], Miramax Films [US], Paramaount Pictures [US], Mirage Enterprises

Director: Peter Howitt
Cast: Gwyneth Paltrow, John Hannah, John Lynch, Jeanne Tripplehorn, ...


Gwyneth Paltrow はあんまり好きではないので、たぶん、レンタルビデオ屋だったら、一番最後に選んだかも知れない映画。TVだと。他に特に面白い番組がないと、ワタシは映画を選んでしまうので。見てしまった。見てよかった。『恋はデジャブ』もそうだけど。『もし』が前提のスト−リー。大まかに言うと。主人公ヘレン(Gwyneth Paltrow) が、地下鉄に『乗り遅れた』場合と、『もし乗ってたら』の両方の顛末が交互に出てくるもの。舞台はイギリスです。イギリス英語がふんだんに聞けます。

ヘレンは、大手PR会社勤務。ジェリー (John Lynch) という、作家『志望』のボーイフレンドと、約2年ほど同棲しているところ。ボーイフレンドは、『まだ』作家ではないので、ヘレンが養っているようなもん。

ある朝出勤すると、くっだらないことが理由で、ヘレンは会社をクビにされる。『あったま来た!』+『明日からどうしよう』という気持ちで悶々としながら、とんぼ帰りで帰宅することになる。不愉快な気分でエレベーターに乗りこんだとき、落としたイヤリングを、居合わせたアカの他人の男性が拾ってくれて、とりあえず、『アリガト』とは言えた。

駅に向うと、地下鉄が入線しはじめている。ココからストーリーが二分される。

まず、最初の運命・ヘレンAは、階段を駆け下りる途中、ガキに邪魔されてペースが乱され、結局地下鉄に置いていかれる。しかも、ダイヤが乱れている、という放送が流れ、次のが来るまで、大分待たされることになる。諦めて外に出、タクシーを拾おうとすると、ひったくりに会い、おでこに怪我。タクシーの運転手に病院に連れて行かれる。つまり、帰宅するまでに、かなり時間がかかったことになる。しかも、本人にとっては、『もう、まったく、散々な日だわ、今日は!』。

方や、もう一つの運命・ヘレンBは、ガキがよけてくれたので、出発間際の地下鉄になんとか乗り込むことができる。空いてる席に座ると、隣に座っている♂が、やたらうるさく話し掛けてくる。うんざりしているヘレンにおかまいなしに。ダジャレ連発。挙句の果てに、『あれ? どっかで会ったこと、ない? 見覚えあるんだけど。ボク、ジェイムズ!』なんて、安っぽいナンパまがいのことまで言い出す。しかし。コイツは、社のエレベーターで、ヘレンのイヤリングを拾ってくれたヤツだった。マジで、一度見かけていたわけで、ウソではなかった。なんだ、かんだ、でとりあえず、ヘレンも自己紹介させられる。不機嫌だったせいで、邪険にしてすまない、と謝って。そして、順調に自宅にたどり着くと。カレが知らない女と、ベッドでアヘアヘ状態。ぶっちぎれた彼女は家を出る。『なんて日なの、散々だわ、今日は!』

地下鉄に乗り遅れ、病院経由と、だいぶ帰宅に時間のかかったヘレンAの方。実は、やっぱり、カレはアヘアヘしてるんだけど、ヘレン帰宅の前に女が帰っているので、ヘレンは全く何も気付かない。だもんで、今までどおり、ジェリーとの生活は続く。しかし、ジェリーを養っている彼女。なんとか仕事を探さねばならず。得意分野のPR系で、正式社員だと、すぐには見つかりそうもないので、とりあえず、安っぽい食堂のウェイトレスになる。健気(けなげ)だ。

ヘレンAとヘレンBの区別は、このあたりだと、事故に会った方のヘレンAの額に治療後のバンソウコウが貼ってある。ので、画面上でも、あ、こっちは、帰宅の遅れた方ね、とか。こっちは、浮気現場見ちゃった方ね、とか。ちゃんと判るようになっている。ホント、場面がポンポン、スイッチするのよ。

ヘレンBは、バーに出向いて、ヤケ酒。なんの因果か、同じバーに、地下鉄で隣に座っていたジェイムズがいたのだ。ここで、ちょっとお近づきになる。同棲している彼の浮気、『ワタシのベッドにいたのよ!』って告白をしたりして。のち、ヘレンBは、友人の勧めもあり、髪をショートにして、色もブロンドにする。ヘレンAの方は、ライトブラウンのロングのまんま。このへんから、バンソウコウなし、で区別できるようになる。

ヘレンAは、安レストランで仕事を続ける。ヘレンBは、ジェイムズにガンガン接近され、カレの勧めもあって、仕事探しをやめ、独立して自分のPR会社を設立。同じヘレンの人生の方向は、だいぶ違ってくる。

ここで。同棲相手ジェリーの浮気相手なんですが。リディア(Jeanne Tripplehorn; 下記参照)は、実は、ジェリーがヘレンと同棲を始める前に付き合っていたアメリカ人で、彼女がアメリカに帰国してしまったことにより、ふたりは一度別れてます。しかし、どういうわけか、彼がヘレンと暮らし出して2年も経ってから、再びイギリスに舞い戻り、カレに復縁を迫ります。このジェリーという男は、優柔不断で、どっちも好き、ってことから、ヘレンが振り回されるわけですが。

ヘレンA、ヘレンB、結末は・・・。なんか、以前見た、『ドラエモン』の1エピソードを思い出してしまった。ドラエモン、って、結構、唸っちゃうほど、考えさせられる内容があったりするのよ。

ドラエモンの未来の道具をどう使っても。歴史(結論)は変えられない、というもの。ドラエモンの魔法は、飛行機、新幹線、ドン行程度の違いだけだという。東京から大阪へ行くヒトの手段を変えることはできるけど、到着するのは、やっぱり大阪だ、っていうもの。瞬時だろうと、時間がかかろうと。

この映画のストーリーの根底で、どっちのヘレンだろうと変わらない設定は、

  @ ヘレンは会社をクビになった。

  A ジェリーは元彼女と浮気をしている。

  B どっちのヘレンも、ジェイムズには、少なくとも2回以上出会っている。

  C ヘレンとジェリーの関係の結末。

根底が同じなら。人生の結末は同じでしょう、っていう感じのストーリーです。いや、ワタシ的には、面白かったです。
ちなみに、パクッてきた下のパッケージ写真では、上のパルトロウがヘレンB,下のがヘレンAです。ワタシ的には、どっちかっちゅうと、ヘレンA(下)のパルトロウが好きです。

John Hannah: James

Helen Bと、特にかかわりがある。

落ち込んでいた彼女を励まし、ちょっと口が多い、っていうか。ウルサイところもあるのだけどね。支えになっちゃって、ヘレンもいつしか、ホロッとして・・・。

けど、コイツには、妻がいて・・・・。ヘレンには隠しているのですが。

Jeanne Tripplehorn: Lydia

Gerry の元彼女。このヒトだけが、アメリカ英語しゃぺってます。

怒らせるとちょっとコワイ感じの女性役。

Gerry がヘレンと別れないもんで、ヘレンにちょくちょく嫌がらせをします。

この女優サンは、"Basic Instinct" (邦題:氷の微笑)で、心理学者のベス、"The Firm" で、トム・クルーズの奥さんの役やったヒト。