Director: Quentin Tarantino
Cast: Harvey Keitel, Tim Roth, Michael Madsen, Chris Penn, Steve
Buscemi, Quentin Tarantino, ...
言わずと知れた、Quentin Tarantino の出世作だ。顔を見ただけでも、『ん? コイツ、普通じゃない。』って思えるほどの、鬼才?天才?何?普通、役者で名前を売ってから地位をつかみ、監督業に進む、または金持ちになって、プロデュースするようになる、っていうコース。彼の場合、出だしは皆さんと一緒。役者になりたかった。しかし、評価はイマイチ。レコード屋でバイトをしながらオーディションの毎日。ストーリーのアイディアがあって、それをまとめてみたら、本作メインの配役のひとり、Harvey Keitel の目にとまり、結局、俳優としてではなく、いきなり監督デビューとなった。彼を監督に抜擢したのは、Harvey Keitel です。普通でない才能を見抜いていたのでしょうか。しかし、本人Quentin はやっぱ、役者になりたいみたい。その後も、話題作、"True Romance ('93)," "Natural BornKillers ('94)," "Pulp Fiction ('94)"(94年は2本!)、 "Four Rooms ('95)" (これは、あんまりパッとしなかったけど、Tim Roth の退屈そうなベルボーイ役良かった)、"From Dusk Till Dawn ('96)" (George Clooney は Quentin と仲良し)、"Jackie Brown ('97)" と話題作が続き、しばらくなりを潜めていたが、来年には、"Kill Bill"が公開される予定。
ストーリーの骨は、プロを集めて銀行強盗を計画、成功するが仲間割れもどきが起こる、という、いたって単純なものなのだが。まず、映画の構成自体が面白い。いきなり、強盗完了『後』のトタバタから始まる。・・・で、なんでこんなことになったのか、という感じで、過去にフラッシュバック。その手のプロを集めたところから。計画を立てて、実行、結果どうなったか、というような。映画のポイントは、銀行強盗ではなくて、これに参加したプロたちの人間模様だ。強盗自体は、『とりあえず』成功するが、想像以上に警察の到着が速かったことから、メンバーの中に警察に密通しているものがいるのでは、という疑いが浮上。お互い、誰もが疑わしい。しかし、実は、密通どころか、メンバーの中に警察のおとりがいたのだ。・・・という事実は、オーディエンスにしかわからない。(そ、我々は、だいぶ早い時期に誰が刑事だかを知らされる。) メンバーは、招集したかつての大物以外、お互いをよく知らない。また、現場でうっかり『名前』を呼んでしまうと手がかりになってしまうので、このメンバーは、全員コードネームをつけられる。笑っちゃうのだが、全部『色』で呼ばれるのだ。Mr. White (Harvey Keitel), Mr. Blonde (Michael Madsen), Mr. Pink (Steve Buscemi), Mr. Orange (Tim Roth), Mr. Brown (Quentin Tarantino, でも、強盗直後に警察のタマに当ってすぐ死んじゃう、ので映画の広告では、最初からプロの殺し屋4人、と表示している)。
ワタシが読んだ、Quentin Tarantino 著作の本によると、実は、この台本を渡されたとき、Michael Madsen (Harvey Keitel とは仲良し)が Keitel と Tarantino のところに出向き、自分の役を、Mr. Blonde ではなく、Mr. Pink (Steve Buscemi にアサインされていた)にしろ、と要求。やはり、役者としては、このピンクが一番面白いのでしょう。おいしい役だし。しかし、この当時、名前もない若造タランティーノに、『配役は変えない。これがベスト』と言われ、ムッとしたそうだ。しかし、タランティーノのバックには、既に Harvey がいたから、引き下がった。
映画の結末は、結局、お互いの不信感がクリアにならないまま、打ち合って全員が死ぬことになる。と、思いきや。映画が終わってから、改めて、『あれ・・・? 最後の打ち合いの場に Mr. Pink (Steve Buscemi) がいなかった・・・。いったい彼は・・・。』と気付く。仲間割れをしたため、せっかくせしめた金が無に・・・、というオチではなく。ちゃっかり知らないうちに姿を消し、たったひとり成功しちゃった儲けもんがいたわけだ。しかし、Mr. Pink がその後ど〜のこ〜の、という場面は、一切出てこない。気付いたヒトだけ、はぁ〜・・・、そうゆ〜こと・・・、って結末の映画。コメディーではないけれど、やっぱ、ちょっとだけ『考える』場を与えてくれる、こういう映画、好きです。