『DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)』
(Interlude for Days without Domestic Violence)
野村誠作曲・ピアノ曲
DV根絶を願う曲がCD(楽譜も出版中)になりました!
**音楽によるDV問題啓発ツールのご案内**
●作曲者紹介:野村 誠《Makoto Nomura》
京都大学理学部をへて,1991年にソニー・ミュージック・エンタテイメントの「NEW ARTIST AUDITION 91」 でグランプリを獲得して,CDデビュー。1994年にはブリティッシュ・カウンシルの奨学金により,英国・ヨーク大学に留学。
1995年,神戸の大震災で被災した人々を元気づけるために,英国・ヨーク市で「神戸のためのコンサート」をプロデュースする。地元の中学生たちが作曲した「アースクエイク」を電話でAM神戸に送り,その一部始終が生放送される。これはイギリスBBCラジオで紹介されるほどの大きな反響を呼ぶ。1996年,鍵盤ハーモニカ八重奏曲「神戸のホケット」
で,京都JCCアートワード現代音楽部門のグランプリを受賞。さらに老人施設での共同作曲活動など,その活動範囲,ジャンルは多岐にわたり,各地で様々な人たちと出会い,語らい,ふれあい,行動する作曲・演奏家として今日に至る。京都女子大学講師。インドネシア国立芸術大学客員教授。
●曲の紹介
この曲は,DV問題に携わっているカウンセラーである草柳和之氏による委嘱で,2001年に作曲されました。曲名は,「DVがなくなる日までの間に演奏する曲」という意味です。下の委嘱者の言葉にあるように,《DV鎮魂の会》という特異なイベントでの
#《DV鎮魂の会》とは?
初演のために,作曲者とサバイバー(暴力被害という不当な状況を生き抜いた人という意味)・DV問題に携わる関係者とが作曲準備会をもち,体験談の話合いや作曲者の即興演奏を交えながら,この曲のイメージを探っていくという作業をへて作曲されたものです。曲は,1920年前後のフランス音楽風の響きを基調としており,後半1/3あたりで悲しくも憧憬を秘めたメロディーが現れ,和声づけなどが変化しながら5回繰返されて,静かに終結します。
この曲が作られた目的に相応しい,好曲と思われます。 作曲者自身も,「僕もDVがなくなる日までこの曲を弾き続けていこう、と思います。」と語っています。
●委嘱者の言葉:草柳 和之
(メンタルサービスセンター代表・カウンセラー/
元早稲田大学非常勤講師)
近年DVは重大な社会問題と認知され、その深刻な暴力被害の実態も東京都や国の調査によって明らかになりました。私は日本で初めて男性の体系的暴力克服プログラムの取り組みに着手、その実践の発展や方法論の整備に力を尽くしていますが、今回、特異なプロジェクトを提案しました。同曲の初演は、私がDV問題に携わる関係者に提唱して実行委員会を組織し、準備を重ねた末、2001.10.21に開催された画期的イベント《DV鎮魂の会》において行われました。同イベントは、亡くなった被害女性の追悼と、現在生きている全ての被害女性が援助ネットワークにつながるよう祈念するセレモニーを中核に、作曲者による本曲初演/DV被害・加害の取組みに関する対談/という3部で構成されました。社会からDVをなくす意志が広がることを願い、悲痛な体験を解決のためのエネルギーに変換する、私たちの力を確認するために開催され、成功を収めました。DV根絶を目指す精神的内容を象徴的に表わす「社会のために必要な音楽」を、《DV鎮魂の会》の開催を通じて産み出したのです。
この曲は、音楽による“DV問題啓発ツール"の役割が存在します。純粋に音楽として楽しむこともできますが、イベント等にもぜひ活用して下さい。CDだけでなく楽譜も販売しています。同曲は作曲者のご好意により、演奏時の著作権がキャンセルされ、どのような機会でも自由に演奏できます。ピアノを弾ける方は個人的なレパートリーに加えて下さい。イベントで演奏されたり、曲が流されたりすることは、私たちのDVをなくそうとする思いが、音楽というシンボルの形をとって伝わり続けることを意味します。この曲が、DV問題に対する社会全体の注目度を高め、意識啓発の促進をはかるための新しい仕掛けとなるよう、多くの方の手で成長させていって下さい。
また、委嘱者である私は全国から講演依頼がありますが、その際に“講演+同曲のピアノ演奏”という新しいスタイルの講演活動を展開しています。DV問題の認識を拡大していくために多くの方からアイデアが提案されて、この曲に内在する豊かな可能性を引き出していきましょう。そして、この曲が聴かれることがなく、演奏されることもない日が来ることを目指して、様々な共感の輪が広がっていくことを願っています。
●この曲が“DV問題啓発ツール"として貢献する役割
(1)チャリティー・コンサートの曲目として組む。
(2)DVのイベントを行う際、適切な機会に演奏し、会場の参加 者の気持ちを共有するプログラムの一つとして活用します。
その際に、次の2つの方法があります。
*イベント主催者があらかじめ演奏者を決めて演奏する。
*広く演奏者を公募して、この曲に対する関心を促進し参加者に演奏してもらう。
(3)プロのピアニストにお会いした際に、この曲の役割を理解し ていただき、楽譜を贈呈する運動を展開中である。音楽会の曲 目に入ると、プログラムの曲目解説が掲載され、そのことによ って聴衆のDV問題に対する関心を促進することができる。 (職業音楽家によるDV問題啓発の参画と位置づけられる。)
(4)この曲を編曲する。(既に鍵盤ハーモニカ四重奏版、クラリネット・アンサンブル版が完成しています。)
(5)外国の方とシンポジウムなどでお会いした際に楽譜を贈呈して、この音楽の意義を理解してもらい、活用する運動を展開し ています。国境を越えてDV根絶の願いのヴァイブレーションを響かせるプロジェクトです。(米国の上院議員・弁護士・DV問題の研究調査を専門とする大学教官、国連女子差別撤廃委員会委員長、NGOの理事等に贈呈。贈呈した方々の国名も、米国・カナダ・チリ・英国・オーストリア・マレーシア・オーストラリア、と多岐にわたっている。)
【楽譜発行・問合せ】メンタルサービスセンター
〒176-8799 練馬郵便局留/tel.03-3993-6147
※楽譜:\800(通信販売は送料込:\1,000)/〔郵便振替〕00180-0-656961 名義:メンタルサービスセンター 草柳和之
【CD発行】エアプレーンレーベル:〒101-0051 千代田区神田
神保町2-12 神栄ビル2F/Tel.03-3230-7015
/定価:\1,800/CD製品No:AP1020
※原曲は約6分。鍵盤ハーモニカ四重奏版・即興演奏等を含む全 8曲,計約30分。
※この曲を公開で演奏したり,イベントで使った方は,そのデータ を当センターまでお知らせ下さい。インターネット等を通じて 演奏記録を公開し,この曲の活用の広がりを多くの方に伝えて いきます。