映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」の感想なんぞを書いてみようかと。
いやー、この映画はケッサクだね。何がおもしろいって、アメリカ南北戦争のさなかに、ニューヨークじゃギャングどもが戦争そっちのけで抗争に明け暮れてるんだからね。アメリカ合衆国の歴史的大イベントである南北戦争をやってる最中にだよ。日本でいえば、尊皇と左幕で日本がまっぷたつに割れた戊辰戦争まっただ中、鳥羽伏見の戦いやってるときに、江戸ではやくざどもが縄張り争いをやってたようなもんだ。
グラント将軍やシャーマン将軍ちゅうた英雄が南部連合との激戦を戦ってるっつーのに、銃後では警官や政治家がギャングとつるんで汚職に精を出してるわ、消防隊は火事そっちのけでライバルとけんかをおっぱじめるわで、さらに殺人、強盗、略奪などなど何でもありのたんつぼのごときありさま。アメリカを二分した内戦もどこ吹く風。
「グローリー」って映画があったね。南北戦争時に北軍に創設された、アメリカ初の黒人部隊の話を描いた映画だけど、部隊はフォート・ワグナーの戦いで壊滅し、主役の白人指揮官も戦死するんだよね。
リンカーンやグラントはもちろんだけど、それ以外にも、国のために戦って命を散らしていった数多くの名もない兵士達がいて、多くのアメリカ人にとっては、彼らこそがアメリカの栄光であり、歴史なわけだ。
ところがどっこい、 この映画はアメリカの正統な歴史には何ら関与しなかったごろつきどもこそがアメリカを築いたと主張している。かなり強烈な皮肉だね。
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