ジャンボ! アフリカ 〜14.アフリカの太陽と月と星と〜

 

 ケニアでは通年日の出は6:30前後、日の入りは18:30前後頃である。
 サバンナに太陽が現れると一気に空を駆け上り、それと共に陽射しが徐々に強く眩しくなってくる。なにせ赤道直下の国である。日中は太陽が真上からジリジリと照りつけ、焼きつくされそうだ。眩しくてサングラスなしにはまともに太陽の方は見られない。アンボセリは今回訪れた所では1番標高も低い分(それでも1000メートル以上あるけど)1番暑かったが、日本の夏と違い湿度が低くてしのぎやすく、木陰など日陰に入ると爽やかである。でも、やはり陽射しは強烈で、顔は日焼け止めをバッチリ塗っていたからよかったものの、塗っていなかった腕は見事に日焼けし、腕時計の跡がクッキリハッキリ残ってしまった。
 しかし、太陽が沈み、夜の闇が広がってくると一気に気温が下がって肌寒くなる。(それでもアンボセリでは、夜もTシャツか薄い長袖シャツ1枚で過ごせた)

 夜の闇の訪れと共に私が期待していたのは星である。
 星を眺めるのが大好きな私は、南十字星や竜骨座のカノープスなど日本では見られない・見難い南天の星ウォッチングを期待してやってきたのだ。
 んがっっ。夕食を終え、ロッジの外に出てみたら、18日が満月だった影響で月明かりが強すぎた。月が明るすぎて、せっかくの満天の星が少々見づらい。それでも、少し目が慣れてくると無数の星が目に飛び込んでくる…。
 んがっっ。ひぃぃ〜、日本と見え方が全然違う〜!(緯度が違うから当たり前なんだけど)今の季節、私が日本で星を探す手がかりにするのは北がカシオペア、南がオリオンであるが、目に飛び込んできたオリオンの形・向き、それに高度が見慣れたものと全然違うのだ。日本ではオリオンのベルトにあたる三ツ星が右斜め上がりの横一直線だが、ここでは右斜め下がりの縦一直線に見える。冬の大三角形も、日本ではシリウスが下の頂点にくる逆三角形だが、ここではオリオン座のペテルギウスが頂点の正三角形に見えた。

 「う〜んっ。じゃあ、何度回転しているんだ?あれがペテルギウスなら、あっちがカペラで、双子座はこっちか…」と1人ブツブツ言いながら、立ったまま上半身を横にひねったおかしな体勢で空を仰いでいたら、地球の引力に負けてものの見事にひっくり返ってしまった。

 しかし、ロッジのテラスに立ってみれば、月の明かりに照らし出されてキリマンジャロの頂上の雪が青白く輝いて浮かび上がっていた。キリマンジャロを覆う雲は全く無いようで、月夜にそのシルエットがボンヤリ浮かび上がっている。神秘的な風景だ。

 …と思ったら、どこからか獣のような雄叫びが聞こえてくる。一瞬、何だ何だ?と思うが、これからここでマサイダンスショーが始まるのだ。(食事の前に、ロッジの人に「ここでマサイダンスショーをするから見に来てね〜」と言われたっけ)
 ここ、アンボセリはマサイ族のホームグラウンド。ロッジの人達もマサイの人だ。
 ここで行われるマサイダンスショーは、そんなロッジのスタッフがマサイの衣装キコイに身を包み、サンダルを履いて杖を持って現れ、ダンスとマサイジャンプを見せてくれるのだ。そうそう、昔、サッカーの中田英寿選手と一緒にCMでやってたっけ。
 雄叫びのような、唸り声のような、とにかく腹の底から沸きあがってくる太く力強い声でリズムをとりながら、半円形の列を作って並ぶ。そして1人ずつ中央に出て、見事な跳躍力のマサイジャンプを披露してくれる。それにしても凄い!弾みをつけることも助走も全くなく、その場でいきなり真上に跳び上がるのだ。その高さもハンパじゃない。大人の男性の膝上くらいの高さまで、軽く跳び上がる。何であんなに跳べるの〜〜?!

 こうしてアンボセリの夜は賑やかに更けていくのであった…。