演劇実験室∴王国 第壱次補完計画

作・演出/野中友博

2003年5月16日(金)〜18日(日)

於:中野 スタジオ・あくとれ

〒164-0001 中野区中野2-11-2 サン中野マンションB1F
  Tel:03-3384-3495


 ミツバチのオス、つまり雄蜂は無精卵から生まれて来る。そして、女王蜂との交尾以外には存在理由が無いので、普段は巣の中で遊び暮らしている訳だが、冬を前にすると働き蜂によって容赦なく排除される。まるで、リストラで会社から追い出され、収入が断たれて家からも追い出されてホームレスになってしまうオジサン達を連想させる。

 「オジサン達に元気がない」そんな言葉をここ数年良く聞いている。私も医学的には中高年と云われる年齢に、とうに突入している訳なので、そうした意味ではオジサンとかオヤジと呼ばれたって仕方ないのだろうが、精神的にはガキンチョのような物なので元気のないオジサン達に共感もしないし同情もしていない。実際、オジサン達がオジサンとして元気になるという事は、父権の復権という事を意味している訳だから、気に入らない事があったら卓袱台ひっくり返して怒鳴り散らし、殴りまくるという星一徹のようなオヤジをみんなで認めてあげなくちゃならない……そんなのは迷惑千万な話しだと思っている。

 今から一年ちょっと前に、『御蚕様』という昭和初期を舞台にした芝居を書き、父権的な思い込みで行動する『男』を徹底的にコケにした為、私がフェミニズムを唱えているのだと誤解されたらしい。私はフェミニストなんかじゃない。ついでに云っておくと、今回は父権が風化しつつある現代を描こうと思うが、メンズリヴなんて事を主調しようとも思っていない。オジサンはオジサン以外の者になって貰いたいと思っているが、どうしたら良いのかと聞かれても私には答えられない。結局、自分の生き方は自分で決めて下さいと云うしか無いのだろうから……

 今回は、いつもと違って現代の病巣を過去に投射して幻想的な物語を構築する……といういつもの作業をやっていない。現状の台本構成は現代日本を舞台にした九割方リアリズムの対話劇である。残り一割は紅王国特有の美意識に向かって行くであろうが、前回の第七召喚式『女郎花』で徹底的に様式美に拘った分、現代を現代で対話を描く、という事が今回、私が自分自身と劇団に課した「補完」である。
紅王

『補完計画』とは?

 私達、紅王国では、通常の本公演に相当する興行を『召喚式』と呼んで来ました。これは、「演劇を作り上げていく事は魔術的な行為である」という主宰者、紅王こと野中友博の考えに基づいています。
 一方、今回より展開する『補完計画』は、一般の劇団がアトリエ公演、ワークショップ公演などとして行う小公演に相当します。文字通り、創作集団としての私達『演劇実験室∴紅王国』の創作活動でこぼれ落ちていく部分や弱点を補完するという目論見から出発しました。社会性を持った幻想的な様式演劇という紅王国のイメージから外れるスタイルのレパートリー、野中友博以外の作家の作品といったレパートリーを積極的にとりあげ、『召喚式』とはひと味違った紅王国をお見せします。
 今後も、『召喚式』と『補完計画』を両面展開する事で、作品の幅を拡げ、密度や完成度も高めて行きたいと思います。

PERFORM

中川こう/鰍沢ゆき/佐藤由美子/佐々木勉

小林達雄/阿野伸八/雛 涼子/北島佐和子/鈴木 淳/駒田 忍

CREW

音楽・寺田英一/美術・松木淳三郎/照明・中川隆一/宣伝美術・KIRA/
舞台監督・小川和志/舞監協力・根岸利彦/音響・山口睦央
制作・在倉恭子/制作協力・K企画/企画製作・演劇実験室∴紅王国

CO-CREW(演劇実験室∴紅王国)

末次浩一/沢村小春/藪本悟氏/大川戸由嘉/萩谷正人


料金 前売.\2,500- 当日.\2,800- 
    入場券は日時指定自由席。前売り、予約優先の整理券制です。

    
予約フォームからの受付は終了しました
各日とも当日券は御座います。
5/16(金) 5/17(土) 5/18(日)
昼の部 × 14:00 14:00
夜の部 19:30 19:00 18:00

当日券、及び入場整理券は、開演の90分前より発行します。
開場は開演時間の30分前です。

紅王の創作メモ(秘法典)を読みたい方は、画像をクリック!


→戻る