「心・技・体」の基本は感謝

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         ● 練習が真剣なのは当たり前

            スポーツの世界ではよく大切にするべきものとして、「心・技・体」と言うけれど、全くその通り
            だと思う。私は「生活の全ての場面で、その言葉を大切にしろ」と、言い続けている。
            つまり、上手くなりたかったら、ソフトボールだけでなく、生活から丸ごと取り組めということ。
            「心・技・体」とは、完成された選手の理想のあり方をさすのではなくて、練習の取り組み方
            の理想的状態をさして「心・技・体」と言うのだと思う。 
            練習から常時この三点を大切にしてれば、絶対に上手くなる。プレイヤーとして、人間として
            大きく育っていくはずだからだ。
            まず「心」とは、「やるぞ」という意欲。挑戦する心がなかったら、練習なんて意味がない。そ
            して「技」とは、上手くなりたいと努力すること。「体」とは「衣食住」と同じだと教えている。生
            活面をきちんとコントロールすることだと。
            練習しているときに真剣なのは当然のことだ。でも、グラウンドにいないときだって、ある意
            味で練習なのだ。生活は丸ごと練習だと考えれば、すなわち日常生活を真剣にしなければ、
            ソフトボールは上手くならないということになる。
            「ほんとに真剣にソフトをやるかどうか」は、だから「ほんとに真剣に生活しているか」と同じ
            意味なのだ。
            偉そうなこのスローガンも、自分ができたから掲げているわけではない。自分ができなかった
            ことだからこそ、教え子達には完璧にやってもらいたいのだ。
            要求の厳しい私のことを“監督主義者”と呼ぶ人がいるけれど、なるほど、だから選手達は
            大変だと思う。でも、ある程度、“監督主義”に「よし、ついていこう」と思える選手でなければ、
            ソフトボールが上手くならないのも事実だ。
            チームは人とのつながりの中でできるもの。選手は協調性がなければやっていけない。“監
            督主義”とは、それを理解するための、ひとつ乗り越えるべきステップなのだ。
            「人間、ひとりじゃ生きられないんだよ」
            何かにつけて、私は選手達に言う。言い換えれば、
            「ソフトは、ひとりじゃ戦えないんだ」
            という真理だ。
            だから“チームという輪の中の自分”を大切にしてほしい。友達の輪、仲間の輪を大切にして
            ほしいのだ。
            人間は様々な出会いの中で学び、考え、“自分”を作っていくもの。だから、まずはじめに、そ
            して最終的に“自分”を産んでくれた「親には感謝しなさい」という結論になる。
            感謝の気持ちは、そのまま協調性にもつながる。
            「心・技・体」の基本は、感謝の気持ちなのだ。

                                           「努力は裏切らない」全日本女子ソフトボール監督・宇津木妙子

                                                                 
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