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    トレーニングの負荷と反復回数
 ― 筋肉の作り方(筋肥大)と筋力アップのあり方 ―

(1)
効果的負荷と反復回数の関係(トレーニング反復回数が持つ意味は)
筋トレーニングにおける負荷量は、抵抗負荷が重ければ効果があり、軽いと効果がないというもにではありません。筋力、筋肥大、パワー、持久力など、それぞれの目的によって効果が変わるので、その選択は十分考慮されたものでなければなりません。
ドロームやバーガーらの研究によると、筋力や筋肥大に関しては、最大負荷(最大筋力1RM、Repetition Maximum)で、1〜3回の反復を3〜4セットを、筋持久力のためには10〜12回の反復を3〜4セット実施するのが効果的であるとされています。また、両者ともに発達させるには最大筋力の90〜100%の負荷で5〜6回の反復のセットを、3〜4セット実施するのが効果がある定量的に示しています。
しかし、各個人の体力、体質、経験などを十分考慮した上で、目的にあった筋力強化を図ろうとするならば、単純に一概には言えません。
体力のレベルが低いトレーニング初期の段階では、中程度の負荷(40〜60%)でも筋力は十分発達するので、定量的に90%や100%の負荷をかける必要はありません。このような高負荷はトレーニング技術や集中力のない初心者では帰って危険です。また、ヘッティンガーらの研究では、筋力および筋肥大のためには最大筋力の3分の2の負荷が必要でそれ以下では効果がなく、3分の1では効果が現れないと、負荷を定量的に位置づけています。
しかし筋力と筋肥大は別個の要素であり、また最大筋力からの定量的割合では、自分の体重をも持ち上げるスクワットと、重量のみを持ち上げるレッグ・プレスでは、同じ条件とはなりません。当然、体重を一緒に持ち上げるエクササイズは反復回数は少なくなり、重量のみを持ち上げるエクササイズは反復回数が多くなってくることでしょう。反復回数が多くできると言うことは負荷が軽いと言うことで、目的とした筋トレーニングの効果が減少することとなります。
よって、トレーニングの負荷の設定には最大反復回数を目安にする方法を優先し、最大理想数値を定量的にいうならば、筋力アップには3回以上繰り返せない負荷を、筋力強化には10回以上繰り返せない負荷を、筋肥大には15回以上繰り返せない負荷を選択することがポイントとなります。
また、パワー・アップには負荷とスピードを考慮して、筋力パワーはスピードが10秒以内持続できる負荷で、スピード・パワーは20秒以内繰り返しできる負荷でもって行うことが大事です。
 
(2)トレーニングの反復回数と挙上方法
筋トレーニングは目的によって5つのケースが考えられます。これらの反復は、使用重量と密接な関係を持ちます。ロー・レペティション(低反復回数)だからといって、軽い重量を選択し少ない反復で行っても意味がないので注意してください。

@ マキシム・レペティション・システム (最大筋力反復制=筋力アップ・システム)
ウォーム・アップの軽い重量で反復回数を多く挙上してしまうと、筋疲労を起こして最大挙上を行うことができなくなります。そこで、ウォーム・アップ・セットを2〜3セット軽く行い、その後に90%以上の負荷で1〜3回の反復を3〜5セット行う最大筋力を発揮するのが、このシステムです。一般にこのセットはインターバル(休憩)を3〜5分とり、クール・ダウン・セット(最後のセット)で終わるものをいいます。

A ロー・レペティション・システム (低反復回数制=筋力強化システム)
ウォーム・アップ後に重い重量(最大筋力の80%以上)で行う、反復回数の少ないトレーニング方法です。普通8回くらいまでのオール・アウト(筋の疲労)させ、インターバルは2〜3分とります。筋力強化を目的とするときに採用します。

B ミドル・レペティション・システム (中間反復回数制=筋肥大システム)
それぞれのセットにおける反復回数を中間程度の負荷にして行うトレーニング方法です。目安とする重量は最大筋力の60〜80%程度で、反復回数は10〜15回くらいをゆっくり(スロー・リフト)と行って、筋肉を充血(パンプアップ)させます。このトレーニングの目的は筋の肥大にあるので、インターバルは短め(1〜2分)とします。なお、前腕部や下腿部、腹筋などは小さい筋肉群なので反復回数は多く行いますから注意してください。

C パワー・レペティション・システム (瞬発力反復回数制=パワー・システム)
パワーとは力×スピードのことなので、重い物をどれだけ早く動かす(スピード・リフト)かということでもあります。この筋パワーを強化するためにウォーム・アップ・セット後、最大筋力の30〜60%の負荷で最大スピードによる反復が必要となります。そのときの反復回数の目安は10〜20回程度とし、10〜20秒という一定時間内における反復回数の目安とします。セット間のインターバルは3分くらいはとります。このトレーニング方法は、筋肉の適応性を引き出す物ですから、他の筋トレーニングのように負荷定稿をゆっくり書けていたのではスピードがつきません。最大スピードで反復ができる負荷を吟味し、時間内反復回数を行う努力をしてください。

D ハイ・レペティション・システム (高反復回数制=筋持久力システム) 
目的が筋持久力なので、それぞれのセット当たりの反復回数を多くしなければなりません。反復回数は20回以上を目安とするので、当然使用重量を最大筋力の50%以下と軽くし、セット間のインターバルは短く(1分程度)とり、時間を十分かけます。やり方は、重量が軽いからといって、スピード・リフトせず、2秒に1回程度のリズムのスロー・リフトで限りなく反復してください。






                                                                 
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