ユニオンが都労委に申し立てた不当労働行為救済申立書(抜粋)

不当労働行為を形成する具体的事実

Tのユニオンへの加入

  1. 申立人ユニオンの組合員TはかってX社で営業職を行っていたが、従来会社を退社の上、コニカに入社。その後、関西支社のメディカル&グラフィックカンパニー(以後MGという)の営業、日野工場の同営業技術、日野工場のコンシューマーイメージングカンパニー(以後CIという)の営業技術職に就いている。
  2. 試用期間満了とともにTはコニカの企業内組合であるコニカ労働組合に、ユニオン・ショップ協定により自動的に加入していた。
  3. 入社当初より、時間外手当不支給が何度も発生し、入社時の約束と違い前会社勤務時より勤務時間は多くなったのに給与が下がった為、直属上長のN課長に何度も不満を訴えたが、入社から日が浅かったので取りあえず我慢していた。(休日出勤を除いた普通残業が月当たり実質約80時間はあったが支給は10〜20時間程度であった。尚、タイムカードがない為、記録上は殆ど定時で帰ったことになっている。)
  4. U課長がTの上長に赴任した後は、時間外手当不支給につき、非常にもめるようになって、且つ、コニカが行った緊急施策の中の一つに時間外手当の二分の一削減指令がそれに追い打ちをかけることになった。また、U課長より「解雇することも出来るんだが、将来のこともあろうから自分から会社をやめなさい。」とTは退職勧奨を受けるようになった。
  5. その後、本社人事のM人事課長とMGのJ企画室長に呼び出され、工場への異動を強要された。また、M課長に「残業代のことで文句があるなら払ってやろうじゃないか。その代わり、何年か後には必ず辞めさせてやる。」と言われ、J室長には「異動に応じなかったら、一生懸命あなたを辞めさせる努力をする。そういう努力をする。」と言われた為不本意であったがやむを得ず異動に応じた。また、降格処分になっていたことをこの時初めて知らされた。
  6. 以後、降級処分のままで、この4年間毎年続けて減給されている。これにより同年代同学歴の社員に比し職給で2つ、年収で約2割程度の100万程開きがある。因みに、社員平均給与は毎年上がっている。これは、業務外疾病で長期に休んでいてもおこらないことである。
  7. 降級後Tは日野工場のMGの営業技術職に配転されたが、関西支社総務のY課長に「引っ越しする日は、こっちが決めた日でないと旅費は出さない。」と言われ不自由した。また、工場赴任後も極めて異例な扱いで、本社企画室付けの工場勤務とされ、一人だけフレックスタイム制がなく、時間外手当の支給時間を厳格に制限されるなど、常に特別扱いを受け、3年間の在籍の内4回の配置換えをされた。
  8. これらの件で4年間継続して16回、M取締役はじめ会社側と個人的に話し合いを行った。これらの話し合いの中でも、MGのM企画室長と直属上長のH課長に「あなたはコニカで一番給与が低い、しかし世の会社にはあなたより給与の低い人もいる、文句があるなら辞めろ。」と退職勧奨を受けた。また、人事のW課長代理に「コニカは、評価によって、いくら給料を下げてもいいことになっているんだ。」と言われた。
  9. それらの話し合いの最中の給与で、当時の直属職制であったH課長により勤怠表の改竄がなされ、申請以外の時間外手当の配分がなされた。これにつき工場人事のH人事課長に異議を申し入れたところ、嫌がらせ行為と退職勧奨については理解を示し、TはCIの営業技術部に配置転換となった。しかし、H人事課長に「降格降給不昇給については是非を問えないし、今までは業績評価を行わなかったが、今から新入社員としてのスタートである。」と言われた。
  10. そこでTは、極力会社側とは軋轢を避けようと個人的に対応していたが、個人での交渉では多勢に無勢で無理があると感じ、ユニオンに加入、加入通知書をコニカに発送してもらった。

コニカへの申立人ユニオン加入通知から団体交渉申し入れ

  1. ユニオンはコニカに対して、Tのユニオンへの加入通知を行った後、Tは工場人事のH人事課長と直属部長のA部長に呼び出され、ユニオン加入についていろいろと尋ねられた。また、コニカの企業内労組であるコニカ労組にも呼び出され、「コニカから言われたので一連の問題をコニカ労組で預からせてほしい。」と打診された。
  2. ここでTは、又、極力平和に解決出来ればと考え、実際は不本意であるが暫く静観する事にした。しかし、以下に述べる様にことごとくその譲歩は報われなかった。因みに、Tの方からコニカ労組に相談しなかったのは
  3. その後、Tは、数回、コニカ労組に事情聴取されるが、内容はユニオンを脱退してほしい、そちらから団対交渉申し入れはやめてほしい等ばかりで進展がなかった。そこでユニオンよりコニカ労組に対し、組合間協議を持ち掛ける文章をコニカ労組に送付したところ返事がなかった。そしてユニオンは、ユニオンの方で話しを進めるといった文書をコニカ労組に送付したところ、これも無視された。
  4. よってユニオンは、コニカに団対交渉申し入れをしたところ、コニカより「問題はコニカ労組と協議中。コニカ労組よりユニオンとの団体交渉は受けるなと抗議されている。」等の理由で拒否された。
  5. そこでユニオンは、コニカ労組に対し、協議に関する委任状作成を依頼したが拒否された。またこの間に、一番の問題である降格問題につき、コニカよりコニカ労組にではあるが、初めてその理由を明らかにした文書が出されたが、コニカ労組のH副執行委員長は、「これは、あなたの問題でコニカ労組宛にきた文章であるから、組合員であるあなたには写しも差し上げられない。」とつじつまの合わないことを言い見せるだけで引っ込めてしまった。その中身は、「前向きでない。能力がない。」等抽象的な内容の中に、「3年間新規顧客がなかった。」という具体的な内容があった。これは、明確に否定できる虚偽の報告であった。また、コニカ労組はTに無断で、コニカに対し協議を申し入れ、H副執行委員長は「ほらほらちゃんと会社に文句をつけているでしょう。」と言い、これもまたその文章を見せるだけであった。
  6. この様な数々のコニカ労組の行為があったので、Tは今の今までコニカ労組を脱退する意思はなかったが、止むに止まれぬ事情と感じ、コニカ労組を脱退する旨の意思表示を内容証明付き郵便で発送し、同時にユニオンは、その写しを添付した再度の団体交渉申し入れをコニカに対し行った。しかしながら、ユニオンとの団体交渉は法的義務がない等の理由で拒否してきた。要するにコニカは、その意思でコニカ労組に連絡を取り、コニカ労組の主張を表向きの理由として団体交渉に応じていない。見方によれば、コニカは、それによって、ユニオンを排除しようとしている有様である。同内容に付き、一方の組合とは協議するが、一方の組合とは協議しないというのは組合差別であるし、Tがコニカ労組を脱退したこともあり、労働協約の締結等一切の労働条件を話し合う必要性があるのは明白である。

コニカの明確な団体交渉拒否

 以上の通り、コニカはユニオンの申し入れた団体交渉に応じることを拒否し、ユニオンと交渉を持つことを、頭から拒んでいる。コニカの不当労働行為の意図を明白に示しているのである。

不当労働行為の成立

 以上の通り、コニカの団体交渉拒否の事実は全く疑いがない。労働組合法第7条2号に該当する不当労働行為が行われていることは明らかである。
 よってユニオンは本申立に及んだ。速やかな救済を求めるものである。

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