隠し部屋へようこそ vol.8

けんちゃま、肉離れになり仕事が出来ず、暇なので水質を測ってみる。

魚を飼育する場合、水は必ずと言って良いほど必要なものである。
水槽の中の水というものは、飼育している魚にとって命を左右するものである。
どういう水が良い水なのか、自分自身の勉強のためにも一度きちんと書いてみることにする。

まずは元になる水は一般的には水道水であろう。
水道水には様々な物質が含まれている。
問題となるのは残留塩素である。
シクラソマ飼育では、『カルキ抜き?それこそ抜きじゃい!』(チャッピー☆宮本氏の名言)
と水道水をそのまま水槽に入れても、1/3程度の水換えであれば
魚自体にはそれほど影響は出ないかもしれない。
私も一時期はそういう方法であった。
しかし、良い働きをしてくれているバクテリアには少なからず影響が出るようである。
と言っても、水を溜めて残留塩素を中和してから水槽に注ぐという面倒なことはしていない。
先に水槽に液体の塩素中和剤を適量注いでから、水道水をなるべくゆっくり入れるという方式を取っている。
塩素中和剤が多すぎると、水は白く濁る場合がある。
これは何かの化学反応なのであろうか。

ちなみに大阪市水道局のホームページによると、大阪市の水道の残留塩素は0.5rである。
pHは7.5 一晩エアレーションをすることにより、pH8まで上昇する。

良い水槽の水質。
さて、みなさんが良い水だと判断されるのはどういう基準があるのであろうか。
透明度、臭い、コケが発生しない、シクラソマが生き生き。
私的にはこなれた水というよりは、新しい水というものにするようにしている。
普段、測っているのはpHのみである。
褒められたことではない。
自分の水槽の水質を知る意味では、アンモニア濃度、亜硝酸濃度、硝酸塩濃度や硬度も
併せて測定するべきであろう。
そこで今回は試薬を揃えて測ってみようと思う。

pHとはポテンシャル(潜在)・ハイドロゲン(水素)?

バクテリア系が確立された調子の良い水槽では、アンモニア濃度、亜硝酸濃度はゼロに近く、
硝酸塩濃度だけがあるはずであろう。

まずバクテリア系の説明をすると、(まあみなさんご存知でしょうが)
水槽を新しくセットして、水道水を塩素中和した水で魚を飼い始めると、
餌や糞からさまざまな有機物が発生します。
この時点で、次のレベルへ行けなければ、水は腐っていくでしょう。

なので有機物分解バクテリアというのだろうか、難しい名前は覚えなくてもいいと思うので
『ねーちゃん』としておこう。この『ねーちゃん』が大発生する水槽初期の段階では水は白濁するのだが、
『ねーちゃん』は糞や残餌などを分解してアンモニアを作り出す。
またアンモニアは魚の鰓からも尿素になる前の物質として多く排出される。
このアンモニアは非常に有害で、pHがアルカリ性の時は酸性の時に比べて非常に毒性が強くなる。
弱酸性の場合ではアンモニウムイオンというものになっており、それほどの毒性はないと言われていることが多いが、
やはり有害物質であることに変わりはないし、水換えによりpHが上がれば簡単にアンモニウムイオンが
アンモニアに戻るし、温度も関係しており温度が高くなるほど毒性も強くなると言うことであるし、
酸素濃度の低下によっても毒性が強くなる。

ようするに
NH4+(イオン化アンモニアイオン・毒性が弱い)プラスOH-(水酸イオン)
がpHおよび温度の上昇で
NH3(非イオン化アンモニア・毒性が強い)プラスH2O(水)
に変化するのである。

ここで出てきた水酸イオンというものは、水を酸性化する水素イオンとは対極にあり
水をアルカリ性に傾けるものである。
水、『H2O』は『H+』と『OH-』で成り立っているのである。


アンモニア濃度には一番注意が必要である。
これは水の生き物を飼育する上で、きちんと覚えておきたい。
とにかく、私としてはpHが酸性であろうがアルカリ性であろうが
アンモニアはいかん!と覚えておくことにしたい。
先ほど言ったように魚は鰓からアンモニアを排出する機能があり、水槽のアンモニア濃度が高くなると
排出できなくなり、鰓、肝臓、腎臓、脳などが侵されるということである。
魚が突然になんの外傷も無く★になってしまうというのは
このアンモニア中毒症というのがかなり多いらしい。

次にアンモニアを減らして亜硝酸を作り出すというバクテリア、ニトロ……なんだっけ?
そうそう、ニトロソモナスが有名であるが、淡水水槽ではNitrosococcus mobilisが主役であるという学者さんもいる。
でも覚えられないので『オヤジ』としていこう。
この『オヤジ』の活躍により水槽内のアンモニアが減り、亜硝酸が増える。
まだまだやっかいなことにこの亜硝酸も毒性が強い。
亜硝酸濃度が高くなると、魚はメトヘモグロビン血症というものを引き起こし、低酸素症やチアノーゼが起こる。
簡単に言えば窒息死である。
魚の鰓は亜硝酸より優先して塩化ナトリウムを優先して取り込むため、亜硝酸の毒性が高い時は塩を入れると良いらしい。
比率として亜硝酸1に対して塩化ナトリウムが5あれば亜硝酸は毒性を発現させないということらしい。

NH3 またはNH4+ プラス(3/2)O2 ⇒ NO2-プラスH2OプラスH+

これが上記のアンモニアが亜硝酸に変わる式である。
こういうことは超苦手なのだが
アンモニアは1.5個の酸素を消費して、亜硝酸と水と水素イオンに変わるということである。
水槽イオンが増えるということはpHが下がるということも覚えておこう。

ここでまた次のバクテリアの登場である。
亜硝酸を減らし、硝酸塩に変えてくれるニトロ……、えー、ニトロバクター。
これも淡水水槽ではNitrospiraが主役であると言われている。
ややこしいので『オフクロ』としておこう。
この『オフクロ』の活躍により、水槽では亜硝酸が減り、硝酸塩という比較的毒性の低い物質がどんどん溜まっていくこととなる。
硝酸塩は直接魚の健康を害するものではないと言われているが、
pHを下げるし、酸欠等やなんらかの原因で亜硝酸に還元されたりするので、まだまだ注意が必要である。

NO2-プラス(1/2)O2 ⇒ NO3-

亜硝酸と二分の一の酸素から、硝酸塩ができるということである。
酸素がなければ亜硝酸は硝酸塩にならないのである。
この硝酸塩と言うのは強酸性物質であるのでまたまたpHが下がる。


これはGH(硬度)やKH(炭酸塩硬度)というものを無視した話であるので、実際の水槽では
もっといろんなことが起こっているであろう。
私が分かる範囲で書くと、GHは水に含まれる炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの量で決定され、
硬水や軟水と言われる基準であるが日本の水道水でシクラソマを飼育する上ではそんなに気にしなくてもいいであろう。

KHはややこしいのである。いろいろと使い方があるようなのであるが、
私の頭では理解したことをうまく説明できないのである(面倒くさいという説もある。
極々簡単に。
まずひとつは硬度をあらわす指標として用いられるのであるが、
これはGHと同じような使い方をされる。

次に炭酸水素イオン濃度として用いられる。
まあ二酸化炭素の濃度を概算として出すという役割である。

最後にアルカリ度というpH緩衝の目安となる。
ようするに、水換えの水のKHが低すぎると、いくら適切な水換えをしても
すぐに急激に水槽のpHが下がってしまうというような話である。



少し脱線したが、この硝酸塩を減らすのが『自分』の仕事である。
すなわち水換えにより、硝酸塩の濃度を下げるのである。
嫌気性濾過による脱窒という方法もいろんなサイトで紹介されているので調べてみると良いが、
私はシクラソマの飼育に関しては、そんないつ崩壊するかわからないシステムをとるより
せっせと水換えすることを推奨したい。

まとめると、水槽の中には『ねーちゃん』『オヤジ』『オフクロ』と常に働いてくれるバクテリアがいて、
うまく連携共存していて
その他の病原菌の活動を押さえつけたり、水を浄化するといった働きをしてくれている。
これはその水槽のキャパシティに合った入れ物を用意してあげることも大事である。
ようするに濾過装置や底砂などである。
『オヤジ』や『オフクロ』は酸素が無ければ活動できず、
pHが6以下になると極端に働きが鈍るということも覚えておきたい。
そして『自分』がさぼったり、無茶な水換えをしたりすることでこの有益バクテリアの命を奪ってしまい、
その結果、愛魚の健康や命も損なうことにつながるというのを忘れないようにしたい。

では、今回の水換え前のけんちゃまの水質データを公開する。

測定日、2003年9月10日

水換えは週に二回、全量の1/3〜1/4の量を換える。
濾過はすべて、上部&外部&投げ込み(エアレーションを兼ねる)の併用。
物理濾過を重視し、ウールマットは一週間に一回で交換。
上部濾過は三ヶ月に一回、外部濾過は半年に一回の周期で掃除。
サンゴ投入により、弱アルカリ性キープで飼育している。

NO. 水槽容量 飼育魚 pH アンモニア濃度 亜硝酸濃度 硝酸塩濃度 pHその2
60cmワイド クラウンテトラ40cm弱 7.3 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 20〜50ppm/l 7.3
90cm規格 ビファシアータス30cm 7.5 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 10〜20ppm/l 7.7
90cm規格 フェネスト20cmオーバー 7.5 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 20〜50ppm/l 7.6
60cmワイド スペクタビリス20cmオーバー 7.4 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 20〜50ppm/l 7.5
60cm規格 アレナル20cm弱 7.3 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 20〜50ppm/l 7.5
90cm規格 フラワーホーン&ゴットマニィ 7.5 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 20〜50ppm/l 7.6
90cm規格 ボコーティ&フェネスト他 7.7 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 20〜50ppm/l 7.7
90cm規格 マクリカウダ20cm弱 7.8 0.25〜1.5mg/l >0.3mg/l 10〜20ppm/l 7.8
60cmワイド グットラータム23cm 7.6 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 20〜50ppm/l 7.6
10 120cm規格 アルゲンティア&レガニィ 7.7 0〜0.25mg/l >0.3mg/l 10〜20ppm/l 7.8

pHその2は、9/10に初回測定後1/3水換えをして、9/14日の水換え前のpH

なかなか満足がいく結果であった。
マクリの水槽のアンモニア濃度が少し高かったのは餌のやりすぎであろうか。
濾材も新しいものを多く使用したため、生物濾過も完成していないのかもしれない。
その他は特に問題なしのように思う。


今回使用した試薬です。

 外見はこんなです。
 これが意外と高いです。
 高いのかなあ?
 高く感じてしまいます(汗。

 アンモニアは25回。
 測定できると表示されています。

 亜硝酸は45回。

 硝酸塩は60回。

 回数を考えると安いのかな(笑。















 中身です。
 最初は理科の実験みたいで
 なかなか楽しいです。
 しかし、水槽を10本も測ると
 飽きてきます(笑。

 説明書によりますと、
 アンモニア濃度は5r/literを超えると
 全ての生物に致命的と書かれています。

 亜硝酸濃度は1.6r/liter以下に
 保つ必要があると書かれています。

 硝酸塩はゼロに近いほど良い
 と書かれています。















 こんな感じで結果が出ます。
 硝酸塩が多い値を示していますが
 これは植物も入れてないため、
 水換えにより除去するしかないので
 こんなものなのでしょう。

 水換えはさぼれませんね。





















 普段から使っているpH計です。
 せめてこれぐらいは買いましょう。

 こまめにpHを測っていれば
 水質の異変にも気付きやすいですしね。
 






















つづく…… のかなあ。