医療研修
体温について
1.体温調節
体温は大変重要な働きをしますので、その調節機能も複雑であり巧妙に出来ています。
体温は脳の中心にある視床下部にある体温中枢で調節されています。ここには正常体温がセットされていて、何らかの理由で体温が上がったり
下がったりすると、正常体温に戻すように自動的に調節されています。
しかし脳障害が、この視床下部にも及び、正常体温が普通よりも高めにセットされたり、低めにセットされたり、または体温自動調節機能がうまく
作動しなくなったりと、体温の調節が下手になるという結果になります。
このような体温が常時高かったり、あるいは低かったり、また健康人なら何でもない程度の環境変化で体温が急に上昇したり、あるいは低下したり
するような子供がみられ、その対応が重要です。
2.高い体温
・朝服を着替える時に、子どもの様子を注意深く観察しましょう。
・環境温(室内・車内など)が高く、そのために体の熱がこもっていませんか。
・平熱は何度ですか。平熱プラス1度以上であれば、発熱と考えましょう。(体温調節が不十分な子どもは例外です)
・身体に発疹は出ていませんか。(発疹と関連した発熱がある場合は、伝染病の病気と考えられることがあります)
・咳、鼻水、痰、下痢、嘔吐など他の症状はありませんか。
・顔色、爪の色、発汗の様子、呼吸数の増加やゼコゼコ呼吸、食欲、機嫌など普段と違っていませんか。
<対応>
・環境温が高いために発熱している場合は、涼しいところで薄着にして休む。
・発汗が多い場合は、水分補給を充分に行う。
・風邪などの病気による発熱が考えられる場合は早めに主治医の受診をしましょう。
3.低い体温
・低体温以外に全身に何か変化がないか、環境温と衣類はどうなっているかよく観察してください。
・刺激に対する反応の低下(不活発)、ウトウト眠っている(傾眠)状態
・低体温が原因とみられる浅い呼吸、無呼吸と呼吸が苦しそうであったり、お腹が張っていたり観察が必要です。
・血流が悪くなっているので、四肢に触れると冷たく、爪の色が紫色になることがあります。
<対応>
・部屋を暖かくしたり、電気毛布、ストーブなどで温めてみましょう。ただし、火傷をしないように気をつけて下さい。
・体温に注意しながら手足のマッサージなどにより血液の循環を促しましょう。
・衣類、室温の調節、水分補給を行う。
室温や季節、体調(覚醒、緊張、呼吸、発作)と体温との関係を観察し、子どもにとってより方法を考えましょう。
水分管理について
<必要な水分量>
1日に必要な水分量の計算はいろいろあります。だいたい、幼児期には体重1kgに対して100ml程度が必要でしょう。
また、食物の中にも水分は含まれており、食事の内容によって大きく影響されます。
<必要水分量に影響する要因>
発熱、外出、室温の上昇、運動量の増加、緊張、興奮、プール、入浴、発汗などあります。
これら生活内容によって変化しますので、その都度、配慮がいります。あまり外出しない子どもが外に出た後などでは、水分補給は当然
のことと考えてください。
水分排泄が増える要因としては、よだれ、嘔吐、下痢、喀痰などが原因となります。
<水分不足時の症状>
水分が少ない時は、唇が乾燥してきます。もともと唾液などで濡れているはずの口腔粘膜の乾燥は水分不足の症状でもあります。
水分不足が続くと、尿量が減って、濃い尿が少ししか出なくなり、元気がなくなります。ウトウトしたり、皮膚の弾性がなくなり、まれに
循環不全が起こります。
<脱水時の水分補給>
嘔吐、下痢による脱水は、電解質の喪失を伴う脱水状態ですから、水分補給の内容を考えて行いましょう。
・点滴を行うのは、脱水が起こり、急いで水分や電解質の補正が必要な時です
・嘔吐、下痢による時は、スポーツドリンクやお茶、味噌汁、野菜スープなど消化の良い少し味のついている水分を、少しずつ何回も
飲ませてあげてください。
便秘について
長く腸の中に便がたまると、水分が吸収されて、コロコロと固まって出にくい状態になってしまいます。
3日以上便が出ない時は『便秘』といってよいでしょう。便秘は、水分や食事量が少なかったり、蛋白質の多い食事も便秘の原因となります。
※ 食事・・繊維質の多い野菜や芋類を加えて、腸の蠕動運動を促進させましょう。
※ 水分補給・・1日の水分量を多くすることにより便を柔らかくします。糖分を避け、番茶、牛乳、湯冷まし等をとるようにしましょう。
※ 運動・・姿勢変換、手足の屈折、座位、歩行介助をすることにより、腸の蠕動運動を促しましょう。
※ お腹のマッサージ・・1日に何度か、お腹を時計方向にマッサージしましょう。
けいれんについて
1.けいれん(ひきつけ)とは?
筋肉があるリズムで収縮を繰り返す事を言い、意識の状態はさまざまです。またけいれんの時の身体の動きも色々で、わかりにくい事も
しばしばです。
※ 乳幼児のけいれん(熱性けいれん・泣き入りひきつけ・良性乳児けいれん)
最もけいれんを起こしやすい時期で、熱性けいれんが大部分を占めています。子どもの4〜10%にみられます。
2.けいれん発作の観察
@けいれんの状態はどうか Aどのくらい続いたか B意識はあるか Cけいれんの様子はどうか
3.発作時の対応
@発作の続く時間を測り、様子を観察する。
A周囲の危険物を取り除き楽な姿勢をとる。
B嘔吐物や分泌物がつまらないように顔を横向きにし、気道を確保する(むやみにものをかませない)
Cけいれんを起こしている子のそばを出来るだけ離れず、誰かの応援を頼む。
Dけいれんがおさまらない時は、主治医から座薬をもらっている場合に使用し、止まらなければ、受診するなど早めに対策を取りましょう。