森さん、

貴重な情報をありがとうございます。

私も全く同感です。

市吉

 

Subject: RE: 自分の世界を広げよう

市吉さん

森です。

先週の日経新聞日曜版にペシャワール会の中村哲医師(昭和46年生、72歳)が取り上げられていまし

た。九州大学(医学部)の先輩ですから市吉さんもよくご存じと思います。医者であれば恵まれた人生

を送ることができたでしょうが、中村さんはそのような道をえらばなかった稀な人です。1984年にハン

セン病治療のためパキスタンに赴任し6年で帰国の予定が旧ソ連の侵攻で隣国アフガンから難民が押し

寄せ、帰るに帰れなくなり、国境を越え、アフガニスタンの無医村に診療所を開設しました。診療所に

徒歩でたどり着いた母親が抱いていた幼子は赤痢や腸チフスに罹患しており、栄養失調のた治療を施す

間もなく次々と命をおとしていった。中村さんは「診療所で患者を待つ医療はすでに限界。清潔な水と

食べ物がなければ命は救えない」と悟り、全長25キロの灌漑用水路の建設を計画。独学で設計図を書き

地元の農民を指揮しながら自らも重機を運転し10年をかけて灌漑用水路を完成させた。これにより60

万人が清潔な水と食べ物を得ることができるようになった。

新聞には工事中および完成後の現在のマルワリード用水路の写真がありましたが、一本の木もなかった

土地には今や満々と水をたたえ、両岸に美しい柳の木が茂る用水路となっています。中村さんやその協

力者、土木工事に携わった無数の農民の10年間に及ぶたゆみない努力に尊敬の念を禁じえません。残念

なことは、日本政府も日本医師会も中村氏の活動を無視しておりペシャワール会には年間23億円の寄

付があるが、ほとんどが個人だそうです。杉原千畝氏もその偉業をたたえられるどころか外務省の幹部

から命令違反を叱責され退官を余儀なくされたそうで、政府も医師会も自分たちより目立つ人間にたい

して嫉妬するという本能があるようで、これを島国根性というのではないでしょうか。ノーベル賞をも

らってもおかしくないと思いますが、せめて文化勲章くらいはもらっても不思議はありません。中村氏

の信条は「一隅を照らす」で、勲章などもらいたいと思ったことはないでしょうが。

 

森 悦郎

From: Osamu Ichiyoshi  

Sent: Saturday, October 27, 2018 10:52 PM

To: 'Mori Etsuro'

Subject: 自分の世界を広げよう

 

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ネットいじめ

先日TVでネットいじめ問題の報道を見ました。スマホでグループ通信をする仲間内で諍いが起こり、

「死ね」などの暴言が重なり、本当に自殺する場合もあるとの事でした。私は何故そのような暴言を

無視し、或いはグループから脱退しないのか不思議に思いました。

 

多くの人は狭い世界で生きている

のではないでしょうか。電通の無法な労働環境で過労自殺した高橋まつりさんが何故上司の不当労働

強制に抗議し、改善が無ければ更に会社に訴えあるいは辞表を叩き付ける等の行動が取れなかった

不思議でしたが上述の子供のネットいじめについての番組を見て人は狭い世界で生きているのではない

のかと思い当たりました。

 

確かに自分の経験からも35年の会社勤務の間に自分の世界の大半は会社であったと思います。会社以外

の世界と接触が無いと社会人のつもりが会社人に成り果てるのもさもあらむという気がします。

 

定年退職したら元の会社とは忽ち疎遠になりました。これは一個人の小さな経験ですが、第二次世界大

戦を生き抜いた人はもっと大きな世界の移り変わりを経験しました。私の高校の先生が言われた言葉「戦

争によって社会が根本的に変わり得るものだと知った。そしてそのような時に頼りになるのは先ず自分

が身に付けた技である事も」を思い出します。それは司馬遼太郎が言ったように「集団発狂していたと

しか思えない」というほどの根本的な変革でした。

 

自分の世界を広げよう

会社人間は退職と共に極端に世界が狭くなります。趣味や学問、社会貢献や地域活動などを通じて自分

の世界を広げましょう。また年齢を重ねると共に同窓会などは人数も減り、やがて自然消滅します。

自然に老後は寂しいものになってしまいますね。自分の世界を広げて若い世代との交流も必要だと思い

ます。

 

自然に帰ろう

人間の世界が狭い原因の一つは人間があまりに人工的な環境に生きて自分自身を「家畜化」しているの

ではないでしょうか。私はJ.J.ルソーに習って現代人に自然に帰ろうと呼びかけます。前述の学校生徒

の世界は学校だけになってしまっているのが問題です。部活や塾も含めれば自分の時間がありません。

何しろ土日も部活をやっている始末ですから。世界が狭いのは生徒よりもそれをやらせる教師や親の方

ではないでしょうか。

私達が生徒だった時代には土日や夏休みには家の農業の手伝いで忙しく、学校も完全に休みでした。

それが学業には返ってプラスだったのはそれだけ世界が広かったからでしょう。当時も学校でのいじめ

はありましたがそれは学校という狭い世界の中だけであり、学校から帰るやカバンを放り出して野山を

駆けまわっていた私達には大した事ではありませんでした。

私は昔E.ゾラの「居酒屋」を読んだ時、大都会パリの中の小さな界隈でいがみ合って暮らしている人達

に「どうしてこの人達は時には郊外に出かけて自然に親しまないのか」不思議に思いました。

 

私達は現代文明が達成した成果に驚嘆するあまり人間の力を過信していますが、博物館に行って見れば

現代も原始時代から大した進歩はしていません。毎日食べる食糧は植物が光合成したものが基礎になっ

ている事は今も原始時代と全く同じです。従って農林魚業は万人が学ぶべき基礎的学問であると思いま

す。人が自然に疎遠になったのは自然の産業から遊離してしまったからですから。

 

生活に行き詰まりを感じたら自転車に飛び乗って遠乗りをする事をお勧めします。人ひとり見えない

大自然の中を駆ければ誰でも人恋しくなり、文明社会に戻ったら自然に自分の世界を広げようとする

のではないでしょうか。

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* 市吉 修   Osamu Ichiyoshi

* 二十一世紀を楽しく生きよう会

* Human Network for Better 21 Century     

*  http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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