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送信日時: 2013年4月15日月曜日
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件名: 政治と社会
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秩父事件の弾圧と第二次世界大戦の敗戦
以前に取り上げた秩父事件は革命軍の敗北に終わりました。明治10年の西南戦争は有名な西郷隆盛を押し立てて起こった士族の反乱だったのに対しその7年後に起きた秩父事件は無名の民草が起こした反乱だったため明治政府は「事件」として矮小化しましたが大宮郷(現秩父市)の郡役所に掲げられた「自由元年」の4文字はそれが単なる暴動ではなく自由民権社会の実現を目指した革命行動であった事を示しています。草莽の民
が自由民権を求めて起こした武装蜂起は明治藩閥政府にとっては西南戦争以上に怖かった事でしょう。その13年前にフランスで起きた1871年のパリコンミューンの影響もあったかも知れません。何れも政府によって凶暴に弾圧されました。秩父事件の詳細は井出孫六著「秩父困民党群像」をご覧ください。
自由民権運動の弾圧はその後の大日本帝国の歴史を決めたと思います。秩父蜂起の原因は高利貸による農民の貧窮化でした。これが日本農村の病根であった事は猪俣津南雄著「窮乏の農村」を読むと良く分かります。秩父困民党で蜂起した農民が解決を求めた問題は1930年代には日本の農村のどこにでももっと激しい形で現れていました。農民の大半は耕す土地の無い小作人に転落し、農地の大半は少数の大地主の所有に帰していました。1929年の米国Wall街の株式大暴落に始まる世界大恐慌は日本の農村にも深刻な農村不況として波及し、小作料は収穫の50%以上に上がり小作人は農民でありながら自家の飯米にも事欠く状況でした。
日本が中国やアジア諸国に進出して欧米諸国と衝突し第二次世界大戦に突入したのはこれらの国内の問題を解決できなかったからでしょう。秩父蜂起の原因を究明して解決するのではなく一揆を残酷に弾圧する事で臭いものに蓋をした体質は後の大日本帝国でも些かも変わらず国内の社会的矛盾はより深刻化しました。国内問題を解決できなかった大日本帝国は海外進出に活路を求めましたがそれは却ってより大きな問題を抱え込む事になりました。日中戦争をシナ事変、撤退を転進と呼ぶ姿勢は秩父蜂起を事件と呼び、事態を矮小化する事によって解決できるわけがありません。国内の矛盾の解決に立ち向かわず安易に「海外を目指せ」というのは今の政治にもあるのではないでしょうか。
私は昔から戦前の日本で農地の大半が都市在住の寄生地主に集中したのはなぜか不思議に思っていました。私が生まれた戦後は農地改革によって大半の農民が自作農となり農村自治もしっかりした民主社会でしたので戦前の状況が不思議でなりませんでした。
色々調べて感ずるのは戦前の日本社会の病根は
[1] 未熟な民主主義 ; 選挙権の制限、極端な中央集権
[2] 無法な高利貸
[3] 無慈悲な人頭税
であったと思います。
政治の重要性
上の病根は第二次世界大戦後の改革によって根底から改革され日本国は再出発しました。
[1] 民主主義 ; 農地改革、財閥解体、日本国憲法
[2] 無法な高利貸の禁止 ; 金利に上限を設定
[3] 無慈悲な人頭税の廃止; 収入に応じた税負担
もしも秩父困民党の運動が全国的な広がりを見せ日本が自由民権即ち民主国家に自律的に成っていたとしたら第二次世界大戦の悲劇は避けられた事でしょう。
人間の重要性
現在の日本の状態を考えると
[1] 民主主義の危機 ; 低い投票率、低い政治屋の水準、
話題ばかり狙って中身の無い日本国憲法改訂論議など
[2] 無法な高利貸 ; サラ金、町金による高利貸し、多重債務問題
[3] 税負担の不公平 ; 脱税
など深刻な問題があります。
これらは私たちの先人が血のにじむ努力の上に確立してくれた事を現在の私たちがないがしろにしている結果ではないでしょうか。
昔高校の恩師から聞いたことですが戦後の改革によって私たちの先人が思い知ったのは
(1) 世の中は根本的に変わり得ること。
(2) そのような時に頼りになるのは自分の身についた能力であること
だったそうです。
前述のことは社会の骨格と動作原理、運営ルールを決めるものとして政治の重要性、その政治の主体としての
人間の重要性を示していると思います。
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市吉 修 Osamu Ichiyoshi
二十一世紀を楽しく生きよう会 Human Network for Better 21 Century
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