Re: 戦争防止を含む安全保障対策

To: 2022/04/24 18:35

 

先週に引き続きこの課題を考えてみましょう。

 

杞憂

昔中国は杞の国の住人で「もし空が崩れて来たら、地が割れたら何処ににげたら良いのか」と悩み、夜

も眠る事ができなかった人がありました。それに対してある知識人が「空は空気からできているので崩

れる事は無い、地は岩石からできており、毎日無数の人が踏みつけているから壊れる事は無い」と説明

したらやっと安心したそうです。

 

杞憂とは無駄な取りこし苦労の代名詞ですが、実はまともな心配であると思います。千年に一度と言わ

れる東日本大地震災害や今回のロシアによるウクライナ侵略を思えば幾ら杞憂をしても過ぎる事は無い

と思います。

今朝のNHK番組では小惑星の地球衝突から如何に地球を守るかが課題でした。これは滅多に起る事は

ないが過去には何回も起こり地球生命の大絶滅を生じた事が知られています。そこまではいかないまで

も原子爆弾よりも大きな災害を起こし得る小惑星の早期発見と衝突防止対策は現実的な課題になってい

ます。

 

自然災害にも増して深刻なのは人的災害です。東日本大地震災害は福島原発爆発事故がこの先もはるか

に長期間困難な問題を残していますし、破壊し尽された都市や市民の虐殺の現場を見ればロシアによる

ウクライナ侵略はいかなる評価も越えた大災害です。

 

杞憂をとことん追求して対策を立てる事が必要ではないでしょうか。

 

安全神話

福島原発の原因は安全神話にあったのは確かです。緊急時のためのDiesel発電機を地下室に設置してい

たため津波で忽ち機能不全になりました。仮に屋上に設置していたらあの事故は起らなかったでしょう。

正に技術以前の安全神話ボケですね。

 

昨日の知床半島における海難事故を見ると

(1) 海が荒れているから行くなと別会社の人が言ったら「はい」と答えたのにも関わらず出向した。

(2) その人曰く

  あの船は去年6月に挫傷事故を起こしそのため船首が割れていた。それを修理せずにいたため、

そこから亀裂が入り浸水したのだろう。

(3) 24人の観光客に対して、船員は船長を含めて二人のみ。

(4) 救命ボートは積んでいなかったのか。  

  積んでいなかったとしたら法律違反ではないのか。

(5) 昨日1時に最初の救助要請があったのに何故救助が間に合わなかったのか。最後の連絡があった

2時までに船はまだ沈んではいなかったのに。

など疑問が噴出します。

これは典型的な安全神話ぼけだと思います。楽しかるべき観光が一転して悲劇となったのは誠に残念で

す。運営企業に杞憂とその対策が不十分だったのではないでしょうか。

 

平和ぼけ

ロシアのウクライナ侵略は我々の平和ボケを吹き飛ばしました。日本国は憲法に平和主義を掲げ「国際

問題の解決手段としての」戦争の放棄を宣言しました。しかしロシアのウクライナ侵略、あるいは我国

との北方領土の返還交渉に見られるようにプーチンのロシアは戦力を背景にして道義を守らない国です。

残念ながらそのような国が世界には数多くあるのも事実です。

 

日本国憲法に言う戦争放棄とは侵略戦争の放棄であり、何人も自衛のための闘争を行う権利があるのは

自明の理です。日本国憲法は武力による威嚇を禁じていますが、逆に威嚇されないためには十分な自衛

力を備える事が必要でしょう。他方たいていの戦争は自衛権を口実に引き起こされるものであり、人は

真実を見極める力を養う事が必要不可欠です。

 

文明と共に発生した国家とは内に人民の支配を、外に外国の侵略を行う政治権力を産み出しました。権

力とは我国の格言で言えば「勝てば官軍」です。何千年の歴史を重ねてもその本質は変わっていません

ね。身分制社会における法とは「上意下達」です。しかし法とはそんな恣意的なものではなく原始の自

然状態を想定してJ.J.ルソーが原理的に導いた社会契約論に示されるように普遍的な基礎の上に成り立

つものだと思います。それは本質的に民主主義ですが、その実現には多くの課題があります。

 

1. 学問と教育の自由

大日本帝国は報道機関が好戦的な世論を盛り上げました。今から思えばその動機は商業的利益の追求だ

ったと思いますが、より根本的には皇国史観による画一的な教育の結果だったと思います。学校教育に

おいて神話を史実として教え、学問の自由を弾圧した事が大日本帝国の軍国主義的基礎でした。

学問とは真実を明らかにする事であり教育とはそれを教える事です。

 

2. 集会、結社の自由

支配者が国民を支配できるのは警察、軍隊、官僚機構を持っているからです。ならば人民が集会、結社

の自由を有するのは当然でしょう。人民の団結こそ階級社会の支配者の最も恐れるところです。江戸幕

府の法(法度)の第一は「徒党を組む者は死罪」でした。

 

3. 報道の自由

真実の報道こそ報道機関の存在意義でしょう。

 

4. 基本的人権

人間の自由と平等はフランス革命、英国名誉革命、米国独立革命等を通じて確立された基本的人権です。

人の人たる権利を奪う如何なる権利も人にはあらず。人は本来自由にして平等なり。権利と義務は一つ

なり。人権を守るは人の義務なり。

 

5. 法治主義

法とは上意下達ではなく自由かつ平等な人間の契約に基づくものである。支配者の恣意ではなく法に基

づく政治を行うべきである。

 

6.民主主義

人民の、人民による、人民のための政治 (A. Lincoln)

 

7.平和主義

民主主義により基本的人権が守られる国では一体誰が侵略戦争に加担するであろうか。逆に祖国が侵略

された時、一体誰が祖国と民を守らないであろうか。

 

以上の観点から見れば世界はまだまだ発展途上にあるのではないでしょうか。

以下の課題の研究を提案します。

皆様のご意見をお願いします。

 

[1] エネルギー自給率の向上

[2] 食糧自給率の向上

[3] 防衛力の向上

  戦争の防止に止まらず、台風、火山の爆発、地球温暖化、小惑星の衝突など自然災害の防止。

[4] 基本的人権の保護

[5] 社会の理想の追求と実現。

 

市吉 修

 

以下は前回の通信

 

転送歓迎

配信不用の場合はお手数ですが返信にてお知らせ願います。

人は以言伝心、乞う発信。そして返信または全員に返信により大いに語りましょう。

 

Thomas Burgenthal著  アウシュビッツを一人で生き抜いた少年 

池田礼子、渋谷節子訳 朝日文庫  を札幌中央図書館から借りて読みました。

著者は1934年チェコスロバキアのルボフニァにドイツ系ユダヤ人の両親のもとに生まれました。

当時のドイツはナチス党が勢力を広げユダヤ人排斥が激しくなったので両親はチェコスロバキアに逃げ

て来ていたのでした。1939年にドイツがチェコスロバキアに侵入しましたので両親に連れられてポーラ

ンドに逃げました。彼等はイギリスへの渡航を試みていましたが、同年9月にドイツ軍がポーランドに

侵入したためにその機会を失い、最終的にはドイツ軍に捕らえられて収容所に送られました。

 

七百万人が殺されたと言われるHolocaustの犠牲者達はユダヤ人である事以外には何の罪もない人々で

した。勿論ユダヤ人である事に本来何の罪もありません。狂気としか言いようのないユダヤ人の迫害が

かくも広汎に起こったのは何故でしょうか。

 

嘘が真実となる

A.HitlerMein Kampf,我が闘争なる書物には大衆扇動の極意が記述されています。 

(1) 大衆には分かり易いみじかいmessageをくりかえし出すべきである。

(2) それが真実であるかどうかは問題ではない。

(3) 真っ赤な嘘も繰り返せばやがて疑うべからざる真実となる。

まさに真実ですね。

 

プーチン政権とナチス・ドイツは極似

まず嘘を権力獲得の手段とし、政敵や報道人を暗殺するスパイと暴力組織としてナチスのゲシュタ及び

SSに相当するKGB, FSB、親衛隊を有しています。そのロシアがウクライナ政府をナチス呼ばわりし、

民族主義者の排除を戦争の口実にしていますのは笑止千万ですね。そもそもプーチン以上の民族主義者

があるでしょうか。

 

戦争対策

日本は食糧と燃料の大半を輸入に頼っていますので戦争はできない国です。平和主義こそ日本の国是

です。既に食糧と燃料の値上がりが始まっていますが、休耕地活用や二毛作により食糧の増産が必要で

す。国内にある水力、風力、地熱、太陽光、植物資源の活用により食糧及び燃料の自給率を上げる事が

必要不可欠です。

 

平和を守る技術の開発

ウクライナの戦争が示すように戦車、戦艦、飛行機はパレードと民間施設の破壊の役にしか立たず、現

代はミサイル無人機の時代になっています。防衛政策においてはその技術革新をよく吟味すべきです。

私は核ミサイルを1000km彼方から検知してそれを宇宙rocketdocking技術を用いて捕獲し、発射元

に返すシステムを研究していますが、それは今日の宇宙時代では事故を起こした宇宙旅行機の救助にも

応用できるものです。

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+ 市吉 修 

+ 二十一世紀を楽しく生きよう会

+ HP ;   http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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