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中村哲さんの死に思う

ペシャワル会現地代表の中村哲さんがテロリストに殺害されました。人間は中村さんが長年推進して

きたアフガニスタンの農村再生のように偉大な事業も行えば今回のテロリストの凶行のように卑劣な

行動も行う動物です。アフガニスタンと日本、世界的にも取り返しのつかない損失ですが、これを機に

ペシャワル会の事業がより広く認知され更に発展する事を願います。中村さんが言っておられたように

「旱魃に苦しむアフガニスタンに戦争している余裕は無い。農村復興が紛争根絶の最良の道である」

事の認識がアフガニスタンの住民に広く理解され、国民が大道団結して平和な国になる事を切望します。

 

原始の初心を忘れず

戦争を始めとする現代人の苦悩の多くは文明の産物ではないでしょうか。文明の恩恵を楽しむには文明

のもたらした害悪を理解してそれを排除する事が必要です。私見により以下にその概要を述べます。

 

人類史概略

人間の歴史において農耕が始まった高々一万年前までの数百万年間は原始時代でした。この長い人類史

の間に人間は直立歩行、言語の発達、石器の使用、火の利用などにより身体的な進化を遂げて来ました。

他の動物に比べて人間の進化はその発明能力により何層倍も加速されました。しかし原始の人間は自然

の恵みによって生きる自然の一部である事は他の動物と何等変わりませんでした。

自然採集経済においては食べ物の入手は不安定でした。何回かの氷河時代を人類が生き抜けた最大の要

因は助け合いだったと思います。人の寿命も短く病気に対する術も殆ど無かったので幼児が孤児になる

事も多かった筈ですが孤児は人が共同で育てたのでしょう。その痕跡は日本語のチチ、ハハ、ぢぢ、

ばば、ヲヂ、ヲバなどに見られると思います。

 

約一万年前に始まった農耕によって人類史はがらりと変わりました。定住生活と食糧入手の安定化に伴

い人口が増えました。農耕地や用水の確保のため村人の共同作業が必要となり、土地や水をめぐって隣

村との争いが生じ、共同作戦のために最初は民主的に選ばれた指導者が時と共に世襲化して社会の階層

分裂が生じました。人間社会は縦に階層分裂すると共に職業の分化に伴い横にも分裂して複雑になりま

した。即ち人類史は文明時代に進化したわけです。村と村との争いは戦争に発展し、勝者が敗者を併合

する過程が進展してやがて国が成立しました。

 

国は文字の発明を始めとする文化発展の土台となり、今日の文明生活の基盤となっている事は確かでし

ょう。他方国の成立過程から分かるように国は人民支配のための権力機構でありその本性は近代の帝国

主義で頂点に達し二度の大戦による世界の破滅をもたらしました。日本はその痛烈な反省の上に帝国主

義からの卒業を決意して国民主権、基本的人権、平和主義を柱とする日本国憲法を制定しました。

そしてその体制下で過去74年間発展して来ました。

 

文明の恩恵と弊害

上の小論から文明の恩恵と弊害が分かると思います。恩恵は一言で言えば学問の進歩です。ここで学問

とは人間が学び得る事のすべてを含みます。

ここでの目的は文明の弊害を明らかにする事です。上述の事から以下のような弊害があるのではないで

しょうか。

 

[1]過度の競争心

  上述の国の権力争いの類です。

[2]過度の依頼心

  これは[1]の裏返しでしょう。「よらば大樹の陰」や「勝ち馬に乗れ」の類です。

[3]嘘、偽り

  「勝つ事」が至上命題になると手段を選ばず嘘、偽りを吐くようになります。人間の特徴は他人

ばかりでなく自己をもだませる事です。

[4]過度の利己心

  上の悪ろき心の底にあるものです。

 

一々挙げて行くときりが無いのですがその根本にあるのは「利己」を求めるあまり「自己」を失って

いるのではないかと思います。利己心の歴史的な起源は文明と共に生じた私有財産でしょう。

私有財産の追求が文明発展の原動力になる一面もあると思いますが、人は多々にして自己が所有して

いる筈の財産に逆に縛られて利己心の塊に変じ、自己を失っているのではないでしょうか。

 

原始の心を忘れず

ペシャワル会の事業を推進してきた中村さんは「原始の心を忘れず」の人であったと思います。それに

対して卑劣な殺人者は「文明の害悪に染まった心」の人達であったのではないでしょうか。18世紀の西

洋において国家権力が絶対王政に集中して行き、社会分裂の悲惨が先鋭化していく時代にJ.J.Rousseau

が「自然に帰れ」と説いたのも同様の意味であったと思います。

原始の心に戻れば現代文明の恩恵、数百万年の祖先の努力の積み重ねの恩恵を人は完全に享受する事が

できると思います。なぜならそれこそ人間そのものを産み出した原始の人間本来の心であるからです。

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+      市吉 修 

+     二十一世紀を楽しく生きよう会

+     HP ;   http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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