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件名: 韓国旅行報告
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先週は一週間韓国のソウルに行って来ました。
目的はいつものように私は学会、家内は観光です。学会は日韓衛星通信研究会に引き続き次世代衛星研究会があり、こちらは日韓だけでなく世界各地からの参加と発表がありました。衛星通信の重要性は昨年の東日本大地震と津波の大災害で再認識されましたが今回は宇宙物理学者の発表で注意すべき事実を学びました。それは太陽の爆発で生じる太陽風の急増が電離層に影響してGPSに狂いを生じ得ることです。今やGPSはカーナビでお馴染みのように世界の位置検出と時間同期の基盤となっています。GPS以前にはOMEGA, LORAN-Cといった他の測位システムがあったのですがGPSの精度があまりに素晴らしくしかも使用料が只なのですべて廃止されてしまいました。現在唯一の頼みの綱のGPSに狂いが生じれば通信網や交通網が混乱してしまいます。特に超音速の航空機では大事故になりかねません。本来GPSは米軍が管理している軍用システムですのでそればかりに頼るのは問題ではないでしょうか。
韓国の印象
韓国で目立つのは高層住宅が非常に多いことです。ソウルに人口の二割が集中し世界でも有数の人口密度ですが、地方都市に行っても高層住宅の多さが目につきました。水原にある民俗村に行きましたが大変な人出でした。ここは昔の農村の様子を再現したところで藁葺き屋根の農家や両班という士族階級や村長の家など李朝時代の村が再現されています。農村育ちの私には大層懐かしい感じでした。というのは軒下に干してある芋がらや縁側のある家の造り、農機具なども日本の農家とほとんで同じでした。農民の踊りも見ましたが鉦と太鼓で取るリズムは九州のはんや節、衣装と踊りは東北の鹿踊りを連想させました。韓国は日本と似ているというのが私の印象でしたが大きな違いのひとつはオンドルという床下に台所の煙を通す暖房設備でした。何しろソウル市内でも冬は零下20度にもなり漢江が凍るそうですから。
韓国の山は原生林で岩肌が見えていました。日本のように密生した人工林はついぞ見かけませんでした。山の景色は山水画や文人画に描かれる岩山の光景そのままでした。つくづく日本は森林資源に恵まれている事がよく分かります。
韓国は文の国
水原の水原城も公州の公山城も山城で大阪城などの日本の城に比べたらおもちゃのような印象を受けました。豊臣秀吉の朝鮮出兵は韓国側からは壬辰の倭乱ですが日本軍が易々と漢城(今のソウル)まで進軍したのも分かります。韓国の王朝は常に武官に対して文官が優位だったそうですがその影響があるのでしょう。日本では平安の貴族から平氏の台頭を経て源氏による鎌倉幕府の成立に到る過程は文官に対する武官の台頭、中央に対する地方の造反だったと見ることができます。これが中国や韓国に対する日本の歴史の際立った特長だと思います。軍隊同士の戦争では日本が勝っても義勇兵によるゲリラ戦には日本軍は手を焼きました。最終的には負けて撤退したわけですが武力で他の民族を支配することは結局は不可能です。中国は北の遊牧民族による征服と支配が何回も起きましたが数代のうちに支配者が漢語をしゃべり結局漢人に同化してしまうのが常でした。最後の王朝の清を立てたのは満州族ですが満州語は最早死語に近いそうです。
中国や韓国は歴史的にずっと文官優位の官僚国家であったことは科挙制度に現れています。日本は明治以降高等文官試験などがありましたが文官優位、Civilian
Controlはうまく機能せず軍部の暴走を許す結果になりました。Civilian
Controlがうまく行かなかったのは日本の民主主義が未熟だったからでしょう。現在の民主国家日本では自衛隊の最高指揮権が首相にあることは自明の理ですが戦前の日本では普通選挙法が成立した1925年でも国民の半分、即ち婦人には選挙権が与えられず軍の大権は天皇にあるとされました。普通選挙法と同時に制定された治安維持法は民主運動の弾圧に強力に使用され、政府が統御できないため軍部の暴走を止めることができませんでした。
今の世界
今日では勿論事情は全く違います。日韓ともに完全な間接民主制の国です。しかもインターネットと交通網で世界は一つになっています。今回飛行機と宿、現地のツアーすべて予約はインターネットで行いました。家内の携帯電話は韓国でもそのまま使えました。また道で迷っていると現地の人に助けてもらいました。しかもしばしば日本語で。私も多少韓国語は勉強して来たはずなのですがまだまだ未熟で専ら英語で話しましたが韓国で日本語を勉強している人の多いのには驚きます。このように民間のレベルで交流が進んでいる現代では時に政治屋が人気を狙って微妙な領土問題や歴史問題などをぶち上げても殆ど効果が無いのも理解できます。政府によらない直接民間交流は最も確実で安価な世界平和への道ではないでしょうか。政府を動かすのは非常に困難ですが直接民間交流は私たちが日々実践することができます。しかも大いに楽しみながら。
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市吉 修
Osamu Ichiyoshi
二十一世紀を楽しく生きよう会 Human
Network for Better 21 Century
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